研究課題/領域番号 |
16K02733
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 豊 文京学院大学, 外国語学部, 教授 (70216456)
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研究分担者 |
上野 和昭 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10168643)
加藤 大鶴 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (20318728)
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
佐藤 栄作 愛媛大学, 教育学部, 教授 (80211275)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アクセント史 / 声点 / 節博士 / 『日本書紀』 / 『類聚名義抄』 / 『四座講式』 / 差声方式 / アクセント体系 |
研究実績の概要 |
研究代表者鈴木豊(文京学院大学外国語学部・教授)・研究分担者上野和昭(早稲田大学文学学術院・教授)・坂本清恵(日本女子大学文学部・教授)・佐藤栄作(愛媛大学教育学部・教授)・加藤大鶴(東北文教大学短期大学部総合文化学科・准教授)はそれぞれが担当する時代と分野のアクセント史資料に関して、(1)100年におよぶ近代的アクセント史の研究の蓄積とその総括、そしてその発展的継承の必要性、(2)文献アクセント史研究による古代アクセントの記述の必要性、(3)アクセント史に言及する研究に対する文献アクセント史研究からの批判的検討の必要性、(4)文献アクセント史研究の応用(解釈学的研究、文献学的研究、芸能史的研究、日本語学研究〈音韻史・音調史的研究〉への貢献)の必要性、の4つの観点から研究を進めた。 平成28年度の研究活動の打合会を2016年7月9日(土) 2:00-5:00、文京学院大学本郷キャンパス B館2階プレゼンテーションルームにおいて開催した。議 題は今年度の活動内容についてで1.役割分担の確認、2.論文の入手と管理、3.複製資料等の入手と管理、4.『論集』原稿のテーマ、5.その他の各項目について打ち合わせを行った。 今年度の研究成果の発表をアクセント史資料研究会(2016年8月27日(土)13:10~18:00、早稲田大学文学学術院39号館5階第五会議室)において行った。発表は上野和昭「金田一春彦『四座講式の研究』について」と鈴木豊「声点資料における濁音表示」。研究会の前に今年度2回目の打ち合わせを行い進捗状況を確認した。今年度の研究成果はアクセント史資料研究会の機関誌である『論集』ⅩⅡ号を中心として論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、文献による古代アクセント研究の蓄積を、それぞれの研究対象とした資料別に整理して批判的に検討し、現代の到達点を明らかにすることを中心に研究を進めた。研究対象とする資料の範囲、研究成果の記述方法などについて、研究分担者間での意思統一を行った。本研究の代表者と分担者は秋永一枝・上野和昭・坂本清恵・佐藤栄作・鈴木豊編(1998)『日本語アクセント史総合資料 研究篇』(東京堂出版)を刊行している。その第1章には「アクセント史資料解題」を設け41種類のアクセント資料に関して資料ごとの解説がある。そこでは「資料番号、資料名(よみ)、《略称》/(諸本)巻冊、所蔵者、書誌説明(ただしアクセント注記に関係するものを中心とする)/◎アクセント注記様式など・反映するアクセントの時代や地域/以下〔記入担当者〕【依拠文献】【参考文献】」を記し、さらに「【原】原本を閲覧したもの。【影】写真または複製本を閲覧したもの」の情報が付されている。このアクセント史資料解題は先行研究を踏まえて執筆されたものであるが必要最小限の解説を行ったものであるが、そのような研究基盤が整っているために今年度の研究はおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象とするアクセント史資料の範囲と調査方法について確認する。8月末~9月初頭に研究会を開催して各自の進捗状況を報告する。アクセント史資料研究会編『論集ⅩⅢ』に研究成果を公表する。 平成29年度は、古代アクセント研究における重要なテーマ(中国原音声調と日本漢字音、声点と調値、アクセントと清濁の関係など)について、研究の現状を批判的に検討し、現代の到達点を明らかにする予定である。研究代表者の鈴木豊(文京学院大学外国語学部・教授)は奈良平安時代の声点と調値、上野和昭(早稲田大学文学学術院・教授)は節博士と音調との関係、坂本清恵(日本女子大学文学部・教授)は平安鎌倉時代の定家仮名遣いと古典研究、佐藤栄作(愛媛大学教育学部・教授)は奈良平安時代の差声と文字、加藤大鶴(東北文教大学短期大学部総合文化学科・准教授)平安鎌倉時代の中国の声調と日本の漢字音を中心に研究を分担する。また研究協力者の山岡華菜子は方言アクセントとアクセント史との関係の研究およびアクセント史関係研究文献目録の作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
近年アクセント史資料のカラー版複製の刊行が相次いでいる。アクセント史資料としてもっとも重要な資料の一つである観智院本『類聚名義抄』のあらたな高精細カラー版である新天理図書館善本叢書『類聚名義抄』の刊行が平成30年予定であるため、その購入に備えて今年度の予算を使用することを差し控えた。新天理図書館善本叢書 第7巻 和名類聚抄 高山寺本〔第2期2回配本〕などについても刊行年月日の関係で購入することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記新天理図書館善本叢書(八木書店)をはじめとする各種複製のうち、今年度刊行のものについては早期に購入して研究に資する予定である。さらに複製では明らかにしがたい問題点については原本調査を行い万全を期す予定である。
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