実際の言語使用場面では、逸脱的な特徴を持つ文も出現する。そうした文の生成や意味理解には構文的知識が重要な役割を果たすということを、逸脱的な自動詞構文・他動詞構文の考察によって明らかにした。 逸脱的な「のが」「のを」の文は、ともに逆接を表すように見えるが、それぞれに自動詞構文が持つ「変遷的な」意味、他動詞構文が持つ「対抗動作的な」意味を引き継ぎ、その意味から離れるのに従って、許容度は落ちるのである。 こうした逸脱的な特徴を持つ文の意味理解に関する非母語話者との比較調査から、母語話者は構文的知識を鋳型とし、柔軟な意味理解をすることも明らかとなった。
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