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2021 年度 実績報告書

発想法による挨拶表現の歴史的変遷と地理的分布の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K02740
研究機関明治大学

研究代表者

田島 優  明治大学, 法学部, 専任教授 (80207034)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2022-03-31
キーワード感謝表現 / 地理的分布 / 歴史的変化 / 双方向の言語行動 / 近世上方 / オーキニ / 弘前 / メヤグ
研究実績の概要

今年度は、日本語史関係では近世後期上方の感謝表現の収集に努めた。方言関係では、国立国語研究所において「各地方言収集緊急調査」のデータから感謝表現の抜き出し作業を行った。その抜き出した資料を利用して、青森県弘前市で方言調査を実施した。また、今年度はこの課題の最終年度ということであり、今後の研究の方向性を定めた。
日本語史関係の成果としては、2つの面でまとめることができた。1つは、奈良時代の宣命に使用されているカタジケナシを対象として、カタジケナシの語源と宣命における感謝表現の使用実態について明らかにした。カタジケナシはもともとは恥ずかしさの表明であり、相手に合わせる顔がないという意味であったことを再確認した。そして、宣命において、天皇がカタジケナイを用いるのは藤原氏に対してであることもわかった。もう1つは、上方や西日本で広く活用されているオーキニについてである。このオーキニがもともとは江戸で発生したものであることを明らかにできた。オーキニが江戸で定着しなかったのは、江戸には相づち表現のオーキニサがあり、両者の間に同音衝突が生じたことによるものと考えられる。一方、上方でオーキニが定着できたのは、ダンダンという副詞によって感謝を表す表現が先に存在していたことによると思われる。
方言関係についての成果としては、弘前市で使用されている感謝表現のメヤグについて解明を試みたことである。弘前市で使用されているメヤグには、感謝と謝罪の両用法があるが、それぞれの用法の特徴を明らかにした。両用法ともに相手をあまり意識しない、自分の感情に基づく表現であることがわかった。
今後については、まず文献における感謝表現の発想法の歴史についてまとめることである。その次に、文献の結果に基づいて、方言における感謝表現の発想法の分布についてまとめる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 津軽方言の感謝表現メヤグ(迷惑)をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      田島優
    • 雑誌名

      明治大学論集論集

      巻: 561 ページ: 51~76

  • [雑誌論文] 宣命におけるカタジケナシ2021

    • 著者名/発表者名
      田島優
    • 雑誌名

      明治大学教養論集

      巻: 555 ページ: 39~64

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公開日: 2022-12-28  

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