研究課題/領域番号 |
16K02745
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
光信 仁美 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (70330222)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 連体節 / 連体修飾 / 連用修飾成分 / 連体節と被修飾名詞の関係 / ヴォイスの中和 / 連体と連用の交替 |
研究実績の概要 |
本研究は、1)連体節内にある連用修飾成分の特徴と連体修飾(すなわち連体節と被修飾名詞との関係)のタイプとの関連性、2)連体節内に生じる連体と連用の交替現象、3)連体節内のボイスの構文的特徴について考察するものである。また、それは大量の実例をもとに予断なく分析する方法によって、結論を帰納的に導き出そうとするものである。したがって、初年度(28年度)は、用例収集とその資料化に大半の時間があてられた。 用例は、本研究期間の研究対象となる連体節だけを収集するのではなく、考察を進めていくうえで、他の修飾形態と対比・対応させることが有効であると考えたため、広く連体修飾という現象に相当するものを、小説・エッセイなどの書物(文庫本で約30冊)から収集した。 収集した用例は、まず修飾の形態が単語・句・節などのいずれであるのかを基準に分類し、さらに単語には品詞別分類を施した。以上は今後の連体節研究において随時参照されるものとなる。 次に、その中から連体節を形成する主たる形式である、動詞述語による修飾形式の用例(収集数約9千例)について、寺村秀夫(1975~1978)のいわゆる「内の関係」(被修飾名詞が連体節内の動詞述語と格関係で結びつきうる)・「外の関係」(結びつきえない)を基準に分類をおこなった。この二つの関係は、連体節と被修飾名詞との構文的関係のタイプとして広く知られており、この分類作業は、研究課題1)連体節内にある連用修飾成分の特徴と連体修飾のタイプとの関連性を考察する際に、この二つの修飾関係を枠組みとして用いることが妥当であるのか否か(あるいは、修正を加えるべきか)、について検証するためのもので、本研究における予備的考察のための作業である。 以上、初年度はデータの収集と資料化、そして予備的考察のための分類をおこなった。連体修飾のタイプについての予備的考察は次年度の課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、研究対象であるところの、連体節による修飾のみの用例収集と資料化を計画していたが、連体節による修飾の特徴を考察していくうえで、他の修飾形態と対比したり、対応させてみていくことが不可欠であると考え、連体修飾という現象に相当する用例すべてを収集。ひとまず連体修飾という現象を形態的な側面から広く概観するべく、収集した用例を、単語・句・節などの基準によって大まかに分類した。 さらに、研究課題1)連体節内にある連用修飾成分の特徴と連体修飾(すなわち連体節と被修飾名詞との関係)のタイプとの関連性を考察するにあたり、連体修飾の枠組みとして、いわゆる「内の関係」(被修飾名詞が連体節内の動詞述語と格関係で結びつきうる)・「外の関係」(結びつきえない)という関係のタイプを用いることの、妥当性を検証することが重要であると改めて思いあたるところがあり、連体節をこの基準によって分類した。 以上の二つの用例収集・資料化と分類は、本研究を進めていくうえでの予備的考察のための作業である。当初の計画にこれら予備的作業や考察は含まれておらず、その計画に照らせば研究課題の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の際に盛り込まれていなかった研究の予備的考察をおこなうことによって、当初の計画に遅れは生じるが、一方で予備考察の中から、連体修飾における新たな意味的・文法的特徴の発見があるかもしれない。そのような場合には、本研究と並行して、その成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費につき、予定していた作業に遅れが生じ、支払い時期が次年度になった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分と合わせて人件費として計上する。
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