研究課題/領域番号 |
16K02750
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
近藤 明日子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, プロジェクト非常勤研究員 (30425722)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 近代日本語 / 位相 / コーパス / 文語文 / 語種率 / 品詞率 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国立国語研究所(2017)『日本語歴史コーパス 明治・大正編I雑誌』(http://pj.ninjal.ac.jp/corpus_center/chj/meiji_taisho.html)の形態論情報と、本研究で新たに付与する著者・話者の属性(性別・階層・年齢)のデータとを組み合わせ、多変量解析による計量的分析によって、従来の研究とは異なる新たな視点から近代日本語における位相の実態を明らかにすることである。その達成のため、平成28年度は次の2点を実践した。 1.コーパスの著者・話者の属性情報の付与作業を作業補助者に依頼し、雑誌『太陽』のデータについて作業が終了した。 2.次年度以降に行う本格的な分析の試行として、既存のコーパスのデータを利用し、非文芸ジャンルの文語文での語種率・品詞率の通時的変化について分析し、以下の(1)~(4)の分析結果と考察結果を得た。(1)経年とともに名詞率が増加する。これは、文語体の使用の場が評論的文章から報道的文章へ変化したことを背景とする。(2)男性向け雑誌において経年とともに漢語率が増加する。これは、名詞率の増加の反映であるとともに、語彙自体の漢語率も増加したことを背景とする。(3)男性向け雑誌において経年とともに接頭辞率・接尾辞率が増加する。これは、近代語における字音接辞の発展を背景とする。(4)男性向け雑誌よりも女性向け雑誌では漢語率が低い。これは、近代における女性と漢語率の低い和文体との強い関係性を背景とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーパスの著者・話者の属性情報付与作業において、作業を依頼した補助者の作業時間が確保できず、作業進行が計画より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に遅れの出た、作業補助者による著者・話者の属性情報付与作業については、作業を続行し平成29年度中に作業を終了させる。 その後、研究代表者による属性情報の均質化を行い、データをデータベースに格納する。 そして、コーパスの形態論情報と併せて位相について計量的分析を行う。研究成果は学会等で発表し、論文として執筆する準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
作業補助を依頼した者の作業時間が確保できず、作業に対する謝金支出が計画より少額となり、次年度に使用する研究費が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も続行する作業の補助者に対する謝金の支払いに使用する計画である。
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