研究課題/領域番号 |
16K02753
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 芳樹 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (20322977)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 節の通時的縮約 / 統語的構文化 / 主格属格交替 / 名詞的繋辞構文 / CHILDES / 言語変化・変異研究ユニット |
研究実績の概要 |
申請者が30年度に研究対象とした言語現象は、主に、「日本語の主格属格交替の通時的変化(属格主語文の縮約、語彙化)」と「日英語の名詞的繋辞構文の通時的変化(統語的構文化)」であり、その成果は、査読付きジャーナル論文1編(単著)、論文集収録論文1編(単著)、国際学会発表2件(新国氏・和田氏との共著)、国内学会等発表3件(うち1件は共著)があるほか、今年6月には国際学会で1件(共著)を発表予定である。また、申請者の長女および次女の発話を7年来継続的に記録しており、そのうち、長女の4歳3ヶ月から6歳超までの発話(ISBN付き業績)が、宮田スザンヌ氏の協力により、このたびCHILDESから追加公開された。また、申請者が主催する「言語変化・変異研究ユニット」の活動も活発に継続中であり、その成果としては、今年6月に、翻訳書が刊行予定である。詳細は、以下の通り。 (1)日本語の属格主語文の通時的統語変化についての仮説の妥当性をコーパス調査から示した論文1編(単著)を刊行し、大規模ウェブ調査から示した論文2編(共著)を国際学会で、2編(共同研究の成果)を国内学会で発表した。また、3編(共著)が査読中である。 (2)長女の4歳3ヶ月から6歳2ヶ月までの発話をCHILDESから追加公開した。 (3)Joan Bybee著『Language Change』の訳書である小川芳樹・柴﨑礼士郎(編訳)『言語はどのように変化するのか』が、2019年6月に開拓社から刊行予定。 (4)日英語の名詞的繋辞構文の通時的変化と共時的変異についての研究成果(単著)が、2019年2月にくろしお出版から刊行された岸本秀樹・影山太郎(編)『レキシコン研究の新たなアプローチ』に収録された。 (5)「言語変化・変異研究ユニット」の活動として、公開講演会を2件、チュートリアルを2件、ワークショップを1件、主催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に従って、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本科研費の課題のもとでの研究活動の成果として,2019年度中に公刊・公表が予定されているものだけでも、著書2件(うち1件は青木氏・石崎氏との共著)、、編訳書1件(芝﨑氏との共編著)、論文3編、国際学会発表1件(新国氏・和田氏との共著)がある。これらは、現時点で、8割方準備が終わっている。 また、現在、国際ジャーナルの査読中の論文が2編と、国内論文集の査読中の論文が2編ある他、別の国内論文集への寄稿を依頼されている論文1編の執筆を予定している。 これ以外に、現在、共同研究で大規模ウェブ調査を1件計画しているが、これは、日本語の尺度名詞構文における主格助詞の具現の義務性・随意性と、その通時的変化の可能性に関するものである。 また、2019年度から、「言語変化・変異研究ユニット」の第3期となるのに合わせてメンバーを更新し、40名として活動を始動している。この活動は今後もこれまで通り継続し、その成果をホームページから公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
採択3年目に当たる30年度は、配分額の90万円を超える1100739円を使用したが、29年度からの繰越額があり、57984円を31年度に繰り越すこととなった。 このため、31年度は、当初申請額の1000000円と合わせて、1057984円を使用できるが、うち、30万円程度は、6月にドイツの国際学会で発表するための旅費となる。また、20万円程度は図書購入費。言語変化に関する大規模ウェブ調査を2回実施すれば、50万円程度はかかる。また、英語論文の校閲に5万円程度はかかるため、配分額は全額を使い切る予定。
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