研究実績の概要 |
英語には、4種類の複数動詞連鎖 (V-to-V, V-V, V-and-V, V-Ving) がある。本研究課題の全体構想は、直示動詞 comeとgoが、第1動詞に生起する「単文を形成する複数動詞連鎖」の性質を、統語、意味、機能、そして歴史的変化における観点から総合的に考察することにより、「単文を形成する複数動詞連鎖」を新しく体系化することである。 本研究課題の初年度にあたる本年度は、研究目的を達成するための基盤となる研究を進めた。具体的には、本年度の研究実施計画に従い、4種類の個々の「単文を形成する複数動詞連鎖」に対して、複数の共時的コーパスを使い、データ分析を行った。使用した共時的コーパスは、Collins Wordbanks Online, BNC Corpus, Corpus of Contemporary American English, Corpus of Global Web-Based English, International Corpus of English の5つである。データ分析の内容は、「第1動詞の屈折の分類」、「第2動詞に生起する動詞の分類」、「使用分野別頻度の分布」、そして「英語圏と言われる21の国と地域における方言差」の4点である。当初の計画では、分析結果の考察までを行う予定であったが、現状は考察まで到達できていない。その理由は、予想していた以上にデータが膨大であるために、データの分類方法に関して、一部考え直す必要があり、データの再分析を行うと判断を下したためである。 初年度の着実な研究の進展は、香港で開かれた国際学会で、「V-Vingの構文化」についての研究発表を行ったことである。他の研究者からのフィードバックを得る機会、更には、意見交換をする機会に恵まれたことは、本年度以降の研究に非常に有益なことである。
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