研究課題/領域番号 |
16K02770
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松本 知子 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (40758554)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複数動詞連鎖 / モダリティ / 直示性 / 歴史的変化 / 頻度 / 単文 / 複文 / コーパス |
研究実績の概要 |
英語には、4種類の複数動詞連鎖 (V-to-V, V-V, V-and-V, V-Ving) がある。本研究課題の目的は、直示動詞 come と go が第1動詞に生起する「単文を形成する複数動詞連鎖」を新しく体系化することである。 本研究課題の4年目にあたる2019年度は、2016年度~2018年度に引き続き、研究目的を達成するための基盤となる研究を進めた。その基盤となる研究とは、4種類の個々の「単文を形成する複数動詞連鎖」に対しての、複数のコーパスを使ったデータの分析と考察である。具体的には、「第1動詞の屈折の分類」、「第2動詞に生起する動詞の分類」、「使用分野別頻度の分布」、「英語圏と言われる国と地域における方言差」、そして「構成素、そして連鎖そのもの自体がもつ意味的特徴の詳細な記述」についてのデータの分析と考察である。2019年度は、新たに「通時的コーパスを使った20世紀以降の頻度変化」についてのデータの分析と考察へと研究を進めた。さらに、2019年度では、基盤となる研究を踏まえて、「単文を形成する複数動詞連鎖」の形成メカニズムの解明についての研究に取り組んだ。 以上のことから、2019年度には、多くの進展があった。国際学会発表を3本、論文発表を1本行った。2020年度は、国際学会発表を2本予定している。そして、Pascal Hohaus and Rainer Schulze 編の Re-assessing Modalising Expressions: Categories, Co-Text, and Context (John Benjamins) に論文が採択されたため、2020年度はその出版に向けての準備に入る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の基盤となる研究にあたるデータの分析と考察については、2016年度から2019年度まで試行錯誤を繰り返し、多くの時間を費やしてきた。その過程において、新たな用例、そして、今まで気付くことがなかった現象を見つけることもでき、時間はかかっているが、本研究課題を進めるにあたり、避けることはできない意味のある過程と考えている。2020年度中も、これらのデータの分析と考察は継続し、さらにこれまでの分析と考察を基盤にした、新たな段階のデータの分析と考察を行うことになる。その一方で、これらのデータの分析と考察を基盤にして、研究を確実に発展させることができるようになっており、国際学会発表そして論文発表というかたちで成果を収めることができている。予定通りの進捗状況と考えて大きな問題はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度から2019年度に予定していた研究内容のすべてを終了させるには、もう少し時間が必要である。2020年度は、最終年度にあたるために、2016年度から2019年度に予定していた研究内容と同時進行というかたちをとりながら、直示動詞 come と go が第1動詞に生起する「単文を形成する複数動詞連鎖」の性質を、統語、意味、機能、そして歴史的変化における観点から総合的に考察することにより、「単文を形成する複数動詞連鎖」を新しく体系化することを目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)以下の2点の理由により、次年度使用額が生じた。1点目は、2月に予定していた国際学会発表が新型コロナウィルスのために延期になり、旅費が繰り越しになったためである。2点目は、2019年度以降、年間複数回予定している国際学会発表のための旅費を確保するために、ある程度まとまった費用を繰り越したためである。
(使用計画)2020年度は、6月にソウルで開かれるThe 5th Asia-Pacific Corpus Linguistics Conferenceでの発表、そして、8月にベルギーのアントワープで開かれる第11回国際構文文法学会での発表が決定しているため、旅費にまとまった費用が必要となる。その他については、当初の予定通り、図書購入、物品購入、コーパス使用料、英語論文校閲料で消化できると考えている。
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