研究課題/領域番号 |
16K02773
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
中村 不二夫 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20149496)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 英語史 / 近代英語 / 統語変化 / 形態変化 / 助動詞 / 否定辞縮約形 |
研究実績の概要 |
計画書に記載したとおり、平成28年(2016年)3月に広島大学から授与された博士(文学)の学位論文を基に、平成28年10月末に単著を出版した。書名はUnveilling‘Rare’ Usages in the History of Englishで、A5判xxvi + 409ページ、総6章から成る。2006年4月以来科学研究費を連続受給し、ほぼ毎年ヨーロッパの国際会議で口頭発表を行ってきたが、本書は、それらのうち、これまでの英語史研究において稀有な語法であると誤解されてきた語法を扱った発表を1冊に集め、決して稀れではなく、従来の研究結果は調査史料に偏りがあったためであるということを実証した書である。このほか、計画どおり、近代英語協会を始めとする国内学会に参加し、最新の学説の吸収に努めた。さらに、2冊目の単著Correlation between the Establishment of Negative Contractions and the Development of their Related Idioms: With Special Reference to Tag-questions (仮題)の本格的執筆を開始した。 教務委員という職に1年間忙殺され、単著以外は形ある研究成果は残せなかった。特に、準備万端だったにもかかわらず国際会議口頭発表を断念せざるを得なかった点は甚だ残念であった。しかしながら、後述のように、次年度は、今年度分と併せ2つの国際会議口頭発表を行う。すでに、発表許可通知が届いている。さらに、2冊の著書(共著)も脱稿し、1編の論文も完成させている。これらの研究は、実質的に、本年度に行った研究である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように、教務委員という職に忙殺され、単著の出版以外は形ある研究成果は残せていないようにみえる。しかし、後述のように、2つの国際会議口頭発表と1つの国内学会招待発表の草稿とハンドアウト、2冊の著書(共著)と1編の論文の原稿は既に完成させており、精力的に研究したと考えている。決して遅れが出ているわけではない。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、計画書どおり国内学会に参加して最新の学説を吸収するほか、前年度の欠損分を補うため、2つの国際会議で口頭発表し、1つの国内学会で招待発表を行う。それぞれ、邦訳「肯定疑問文において最後まで助動詞doに抵抗した動詞と統語的文脈」(第5回国際英語史学会 [CBDA-5]、於フランス共和国トゥール大学)、「後期近代英語における分詞の進行形being goingの盛衰」(第6回後期近代英語に関する国際会議 [LMEC-6]、於スウェーデン王国ウプサラ大学)、「定辞縮約形doesn’tと過去グループ(didn’t, couldn’t等)の確立が現在グループ(don’t, can’t等)より100年~150年遅れた理由」(日本英語学会、於東北大学)である。年末からは、第20回国際英語史会議 [ICEHL-20]の発表原稿とハンドアウトの作成を開始する傍ら、2冊目の単著の執筆を推し進める。今年度内には、さらに、前年度に執筆完了した2つの著書(共著)、1つの論文が出版の日の目を見る。これらの研究成果は、すべて、計画書に記した、日記・書簡資料150冊、ICAME第2版に含まれている8つの電子コーパス、ARCHER3.2、OED on CD-ROM第2版を調査史料とした、近代英語の助動詞do、進行形、助動詞縮約形の歴史の研究である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
発表準備は出来ていたが、学内業務に追われ、予定していた国際会議発表を取りやめ、次年度用に回したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
申請時の計画書では本年度は1つの国際会議に渡欧する予定であったが、昨年度の基金を残していたため2つの国際会議に応募した。いずれの発表も審査に通り、一方を前年度執行残で賄う。
|