研究課題/領域番号 |
16K02774
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
金澤 俊吾 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (70341724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 形容詞 / 事象修飾 / 類像性 |
研究実績の概要 |
2年目に当たる本年度は「形容詞が、事象名詞を修飾することで、メトニミー的に事象内の動作、参与者と修飾関係を結ぶ事例」と、昨年度に引き続き、「形容詞が、疑似部分詞+名詞(句)を修飾することで、メトニミー的に事象修飾する事例」について考察した。 「形容詞が、事象名詞を修飾する事例」として、英語の同族目的語構文live a lifeと、当該動詞句と同義であるlead a life、それぞれに生起する形容詞の分布に関して、COHAを用いて考察した。その結果、各動詞句に生起する形容詞の分布は、互いに影響を与えることで、形容詞の分布の重なりと広がりが見られることを明らかにした。また、構文文法の枠組を用いて、各動詞句の形成過程の違いを明らかにした。 「形容詞が、疑似部分詞+名詞(句)を修飾する事例」として、名詞句a cup of Nにおいて、形容詞がa cupを修飾するパタンと、形容詞が飲み物を表す名詞Nを修飾するパタンの意味的特徴について考察した。形容詞が、a cupを修飾する場合、飲み物の状態や、動作、事象の様態を表し、動作との関わりの中での飲み物の在り方に際立ちが置かれる。一方、形容詞がNを修飾する場合、形容詞は、飲み物の種類や状態を表し、当該名詞句全体は、飲み物の量に際立ちが置かれる。この修飾関係の違いは、a cup, Nのうち、一方を「図」として捉え、他方を「地」として捉えることで説明できること、また、いずれの修飾関係も類像性の原理によって動機づけられていることを明らかにした。 なお、本研究の成果の一部は、論文1編、研究発表1件、招待講演2件によって発表されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の課題であった、「形容詞が、事象名詞を修飾することで、メトニミー的に事象内の動作、参与者を修飾する事例」に関して、予定通り研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる次年度は、この2年間で得られた研究の総括を行う。また、研究成果を、学会発表、論文として発表する予定である。さらに、これまでの研究の成果から、応用的な位置にあると思われる言語現象を収集することができている。言語事実の発掘を鋭意進めるとともに、考察していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 前年度、未購入の図書、文献等については、今年度当初の段階で購入できた。しかしながら、今年度購入予定の図書、文献等について、一部、購入できなかったものがあったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 購入予定の図書、資料に関して、できるだけ早い時期に購入し、計画的に予算の執行に努める予定である。
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