研究実績の概要 |
本研究は、平成28年度から平成32年度にわたる5年間で、多くの英語構文の適格性は、単に統語的要因にのみ左右されているのではなく、意味的、機能的、談話的要因にも大きな影響を受けていることを示し、「機能的構文論」による英語諸構文のより良き説明を求めるものである。研究一年目で、すでに help somesome VP と help someone to VP の間には、Bolinger や Dixon のいうような「直接的/間接的手助け」というような違いはないことを、9名の母語話者と大型コーパスを用いて明らかにした。また、命令文は、動詞句が表す行為が「自己制御可能」な場合に適格となることを明らかにし、それによって、受身の命令文、進行形の命令文、完了形の命令文の適格性と不適格性の違いを明らかにした。さらに、meet, marry, date, resemble などの「相互動詞」と呼ばれる動詞の特徴を明らかにして、これらの動詞を用いた諸構文の適格性を説明した。これらの研究は、他の研究も含めて、2017 年3月に海外共同研究者の久野暲氏と共著で、『謎解きの英文法 動詞』(くろしお出版)として出版した。 さらに Susumu Kuno 氏と "Functional Syntax" の論文を書き、Masayosi Shibatani et al. が編者を努める Syntax (Mouten de Gruyter)に収録されることが決まった。また、私個人が "Quantifier Float in Japanese and English" の論文を書き、Kageyama & Pardeshi (eds.) の The Handbook of Japanese Contrastive Linguistics (Mouten de Gruyter)に収録されることが決まった。
|