研究課題/領域番号 |
16K02779
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
成田 広樹 東海大学, 文学部, 講師 (60609767)
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研究分担者 |
木村 博子 目白大学, 外国語学部, 専任講師 (40637633)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 句構造の対称性 / 句構造の内心性 / 併合 / 対称性原理 / 省略 / 形態格 / 削除 / 線形化 |
研究実績の概要 |
福井直樹(上智大学)編集の『Merge in the mind-brain』(Routledge)に共同執筆者として加わり、4編の論文を出版した。特に、「Merge and (A)symmetry」(福井直樹との共著)では、句構造の対称性をめぐる分析を展開し、素性均衡(feature-equilibrium)の概念を提唱した。この提案は本研究課題の中核として位置付けられるものであるが、現在、次年度に向けてさらなる拡張・検討を行なっているが、その成果の一部を本年度末に慶應言語学コロキアムにて「ラベルはどこにあるのか」と題して報告することができた。また、同論集所収の「0-Search and 0-Merge」では、人間言語の原始演算としての「原探索」(0-Search)と「原併合」(0-Merge)の概念に着目し、数々の統辞演算をこの二つの原始演算の合成として捉え直す理論を提案したが、この提案は、現在、句構造の内心性を決定するラベル付けアルゴリズムにおける探査操作の理論的分析をさらに推し進めていくための基礎となっている。さらに、関西言語学会第42回大会にておこなった研究発表では、フェイズ毎の周期的移送に依拠した句構造線形化の新しい理論を展開し、特に日本語の形態格脱落の現象から証拠となるデータを導き出すことに成功した。そして、木村博子(目白大学、本年度より研究分担者)と短縮応答における省略操作について共同研究を推進し、成果を得た。そして、名古屋哲学フォーラム、静岡大学理論言語学セミナーに参加し、「ヒトがつくることば、ことばがつくるヒト」と題して、人間本性の様々な特質や、語彙形成・哲学・算術・料理などの人間特有の行動様式に、言語の進化がどのような影響を与えたと考えられるかについて論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
線形化、形態格の役割、省略現象の研究、そして句構造の内心性(ラベル付け)と対称性に関する新たな研究を実施し、それぞれにおいて成果が得られた。特に慶應コロキアムでの研究発表「ラベルはどこにあるのか」では、Chomskyらによる最新のラベル付けアルゴリズムを批判的に検討し、「生成的演算は対称的構造を出力とする」とする対称性原理(Symmetry Principle)の仮説のもとに、極小モデルに基づく統辞理論を抜本的に再定式化することを提案した。昨年度より進行中の福井直樹(上智大学)との共同研究『Symmetry-driven Syntax』(仮題、Routledgeと出版契約締結済)については、現在出版予定を2019年に再設定した上で、上記の対称性原理に基づく議論を中心に論考を再構成している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度より進行中の福井直樹(上智大学)との共同研究『Symmetry-driven Syntax』(仮題、Routledgeと出版契約締結済)を本研究課題の最終的成果の一つとして位置づけ、その執筆作業を進める。特に、「生成的演算は対称的構造を出力とする」とする対称性原理(Symmetry Principle)の仮説を推進し、近年の極小モデルを抜本的に再定式化する新たな統辞理論を提案する。また、本年度の関西言語学会での研究発表の内容に基づく論文を作成する。さらに、木村博子(目白大学、研究分担者)との共同研究を推進し、論文として投稿・出版を目指す。そして、句構造の線形化(linearization)のメカニズムについて論稿を執筆し、出版する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に計画していた研究成果の発表は、その多くを招待講演の形で行うことができた。交通費等の支給を他機関から受けることができたため、研究出張に充てる予定だった予算の一部に次年度使用額が生じた。
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