日英語の文法(統語論)では馴染みの薄い文法範疇である「定性(finiteness)」が、普遍性の観点から日英語においてどのような特性を有するのかについて考察を深めた。定性は時制と綿密な関係を持つために両者を明確に区分することは出来ないが、1990年代後半から欧州で開発されてきた談話と文法を結び付ける(カートグラフィー(談話領域))研究を足掛かりに分析を行った結果、英語と日本語のFinの特性の違いは、前者がAgreement(一致)と結びついているのに対し、日本語ではFocus(焦点)と結びついていること、並びに両者に見られる定性主要部の名詞性は同種のものでない可能性があることを明らかにした。
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