研究課題/領域番号 |
16K02786
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岩田 彩志 関西大学, 文学部, 教授 (50232682)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 語彙・構文アプローチ / 語彙意味論 / 構文理論 / 結果構文 / way構文 |
研究実績の概要 |
3つのコーパス(British National Corpus, Wordbanks Corpus, Corpus of Contemporary American English)を検索した結果、to victoryを含む多数の例が見つかった(BNC: 158例、WB: 993例、COCA: 733例)。その中には、移動動詞と共起する例(He ran to victory)が多数見つかった。これはUnique Path Constraintに対する違反である。また Direct Object Restrictionに違反する例もかなり見つかった(These two are the only runners to carry 57kg or more to victory)。 次に、これらの実例を検討してみると興味深いことが判明した。まずHe ran to victoryという例において、動詞runが競技としての「走る」という意味で使われている。とすれば「移動」というよりも寧ろ「活動」を表しているのだから、必ずしもUnique Path Constraintに違反していないことになる。 さらにto victoryを含む文では、活動がこの抽象的経路上を、goalの「勝利」へ向かって進んでいることになる。すると、to victoryを含む文は抽象的移動を表す文ということになる。Direct Object Restrictionとは、直接目的語がforce-recipientであることと、forceを受けた結果、状態が変化する、ということからの自動的帰結と考えることが出来る。移動を表す文では、直接目的語がforce-recipientでないから、Direct Object Restrictionが当てはまらなくても、何も不思議ではない。 このように、to victoryを含む文が抽象的移動を表していると考えれば、二つの制約に違反しているように見える事実も、無理なく説明することが出来る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目は、3つのコーパスからto victoryを含む例を片っ端から集めること、収集したデータを整理していくこと、を予定していた。そして、出来れば、何故二つの制約(Unique Path ConstraintとDirect Object Restriction)に違反することが可能なのか、も突き止めたいと考えていた。これらの目標を一通り達成することが出来ており、順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、to victoryと同じような特性を示す結果句が他にもあるかどうかを調査する。そのような結果句として、いくつか候補があるが、少なくともto successとto fameを2年目に分析したい。1年目と同じように、3つのコーパスを徹底的に調べて、全ての事例を収集する。そして、to victoryについての説明がどれくらい有効かを検討して、1年目に得られた仮説の検証につなげたい。
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