研究実績の概要 |
2016年度~2019年度にかけて、様々な言語コーパスや関連する著書・論文等により言語データを収集し、データベース化した。そして、そのデータを基礎として、自動詞である非能格動詞が他動詞化する場合を、同族目的語構文と結果構文に焦点を当てて分析を行った。 まず、同族目的語構文に生じる自動詞の中には、他動性に関して程度差があることが分かった。用いた指標は、(i)受動文の可否(ii)代名詞の置き換え可否、(iii)what等の疑問文の可否などを含む6つである。調査の結果、この6つの指標を満たす動詞の1つは、live等であった。これに対して、smile, screamなどは6つの指標のうち4つを満たし、run, dieなどは3つの指標を満たした。そして、cryなどは2つの指標しか満たさなかった。このような事により、liveが一番他動性が強く、同じ自動詞でも、smile, sceamの場合少し他動性が弱く、run, dieに場合にはさらに弱く、cryの場合には一番他動性が弱いことが分かった。 結果構文でも、自動詞にあるにもかかわらず目的語をとり、さらに受け身文を作り、他動性を示すことが調査によって分かった。(John ran his Nikes threadbare. / John nikes were run threadbare. The professor talked us into a stupor. / We were talked into a stupor by the professor.) 同族目的語構文、結果構文以外に、中間構文に生じる自動詞の他動性についても分析をした。 (This car sells well. / The book read easily)。具体的には、この構文の意味的な特徴や統語的な特徴を明らかにし、その上でこの構文の構造を提案した。
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