研究課題/領域番号 |
16K02793
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
内海 由美子 山形大学, 基盤教育院, 教授 (20292708)
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研究分担者 |
澤 恩嬉 東北文教大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (50389699)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国人保護者 / 幼稚園・保育園 / 連絡帳 / 読み書き / 育児困難 |
研究実績の概要 |
平成28年度はデータ収集のための準備作業として、これまでの研究成果である外国人保護者支援サイト「連絡帳を書こう!」の改善作業を行った。まず、言語面に関して、現状の日本語、英語、中国語、韓国語に加えてタイ語の翻訳を完了した。また、在留外国人統計の参照、専門家への聞き取りを行い、タガログ語、ポルトガル語、インドネシア語の必要性・可能性を検討した。 次にサイトに寄せられた意見、学会発表で寄せられた意見をもとに、技術面における改善作業に着手した。明らかになった問題点は次のとおりである。(1)モデル文をテキストとしてコピーして連絡帳に貼り付けたいという要望に関して、フォントの変更・ルビの解除が必要であることがわかった。(2)利用者が目的のモデル文や表現を探しにくいという問題点があることに関して、ひとつのページが縦に非常に長く、メニューに戻って他のモデル文を探す操作が煩雑であること、入れ替え表現の表示方法がわかりにくいこと等の問題点がわかった。利用者のストレスを少なくするような見せ方を検討している。(3)キーワードの多言語翻訳等、検索エンジンからよりヒットしやすくするための工夫も必要であることがわかった。 サイトの内容に関しては、方言に対するリクエストもあったが、その多様性を考えると網羅することはほぼ不可能である。そのため人間関係を築くうえで重要となる挨拶表現を方言で言えるようになる等、コミュニケーション上のヒントを充実させていく方向で内容を改善することにした。 一方、このサイトの使い方をテーマにしたワークショップを行って欲しいという要望が寄せられた。当初の研究計画にはないが、ワークショップをとおして参加者である外国人保護者の読み書きニーズが明らかになると考えられるため、ワークショップの実施を検討することにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集の準備作業であるサイトの改善に時間がかかっていることが主な原因である。しかしながら、サイトをとおした利用者の声を収集することもデータ収集方法のひとつであることから、不可避の作業であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
データの収集を続ける。まず、これまでの研究で収集した連絡帳データを、子育て上の問題に関して分析する。次に、サイトの利用者、日本人保護者も含めて、聞き取り調査を依頼し調査を実施する。そこで得られた音声データを文字化し分析データとする。データの分析においては、まず、子育て上の問題の内容を明らかにする。次に、問題に関する相談を解決までのひとつのプロセスと捉え、段階ごとのやりとりについて分析し、技能の選択、談話の流れ、頻出する言語形式を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
サイトの技術面における改善は業者に発注しているが、そちらの支払いが次年度となったためである。また、データ収集の準備作業に予想より時間がかかり、被調査者に対する謝金の支払いが次年度となったことも理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に上記の作業を完遂し経費の支払いを行う予定である。
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