研究課題/領域番号 |
16K02793
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
内海 由美子 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 教授 (20292708)
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研究分担者 |
澤 恩嬉 東北文教大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (50389699)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国出身保護者 / 日本人保護者 / 困り事 / 相談事 / 園生活 / 連携 / コミュニケーション能力 |
研究実績の概要 |
日本人と外国出身の保護者を対象に調査を開始した。まず、日本人保護者を対象としたアンケート調査を実施した。ウェブでアンケートを作成し、山形県と仙台市の幼稚園・保育園614か所にURLを送る等して、9月~11月の約2か月間で実施した。回答者は95名で、このうち子どもを園に通わせたことがない人等を除いた85名の回答を分析した。子どもの年齢から、このうち73.5%の回答者が現在通園中であると思われる。分析では、「困ったこと/悩んだこと」(以下、困り事)、「相談したこと」(以下、相談事)の項目を集計し、自由記述から、困り事の内容、相談した結果、相談しない理由を抜き出して考察を加えた。その結果、以下の3点が明らかになった。 ①困り事・相談事では「食事」「体調」「子ども同士のトラブル」が多く、子どもに関する困り事で、園生活にも関わるものは、園に相談し連携しながら解決を目指している。②困り事だが相談事ではないことは、「先生とのコミュニケーション」「行事」「保護者会」「しつけ」である。「先生とのコミュニケーション」や「園の方針と合わない」では、相談することで園とぶつかる可能性があり、保護者には「めんどくさい親」と見られたくないという思いがある。つまり、リスクを回避しながら相談することには高度なコミュニケーション能力が求められるため、日本人でも相談をためらう項目である。③「行事」・「保護者会」への関わり方、「しつけ」は、自分の問題と捉え、相談していない。しかし「しつけ」では、クラス懇談会を利用するという記述があり、他の家庭の状況を聞いたり、他の事例に対する先生のコメントを聞いたりすることが、相談の代わりになっていることがわかった。 以上の分析結果から、外国出身保護者の困り事、相談事に関する仮説を立て、調査内容を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本人保護者を対象とした調査をするにあたり、調査方法・調査内容は比較的短時間で決まったが、被調査者を募る方法を確定させ必要書類を発送するまでに時間がかかった。外国出身保護者対象の調査に関しても内容の検討は始めているが、その翻訳と被調査者を募るにあたって時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
まず、外国出身保護者対象の調査に関しては、調査用紙を英語、中国語、韓国語に翻訳し、支援者や支援団体、研究者らのSNSを通して調査を実施していく。日本人保護者対象の調査同様の方法で結果を分析し、「相談する」場面で必要なライティングシラバスのリストアップを行う。そのシラバスをもとに教材化と翻訳作業を行う。次に、サイトの改訂に関しては業者と検討を重ね、すでに翻訳の終了しているタイ語のほかにも外国語のページを追加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
<理由>調査実施のための費用のうち、アンケートをウェブ調査で実施したため、調査協力謝金が発生しなかったこと、サイトの改訂作業に時間を要しており、予定していた支払いが次年度に繰り延べになったことなどが理由である。 <使用計画>これらにより生じた次年度使用額は、サイトの改訂作業、サイトの翻訳作業に繰り入れて使用し消化する予定である。
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