本研究では、日本語学習者の読み書きを支援する目的で2つのシステムを構築し、日本語教育の教育支援を行う。一つ目は読解授業を支援する「日本語文章難易度判別システム jReadability」であり、二つ目は作文執筆を支援する「日本語学習者作文評価システム jWriter」である。 まず、「日本語文章難易度判別システム」は文章の難易度をウェブブラウザを使って自動判定するもので、読解クラスの教育支援を行う目的で運用されるシステムである。本システムには入力文章の難易度を予測する回帰式が搭載されており,日本語教育以外の分野でも様々な方向で活用されている。 次に「日本語学習者作文評価システム 」は学習者の作文の熟達度を自動判定するシステムで、自立学習を支援するためのものである。2018年度の研究活動の成果として、4点があげられる。1)英語版サイトを開発したこと、2)可視化ツール(共起ネットワーク、ワードクラウド)を実装したこと、3)意味階層図を自動で作成するモジュールを実装したこと、4)学会などでの広報や日本語教育関係者を対象とするワークショップを実施したおかげで、利用実績が上がったこと。1)によって日本語が十分でない学習者でも、システムを利用できる環境が構築できた。2)、3)の実装に関する詳細はCASTEL/J2019で発表予定である。4)の実績として、2018年7月8日に名古屋(南山大学)、2018年7月23日に東京(東京外国語大学)、2018年8月7日にチューリッヒ(チューリッヒ大)で科研で開発したシステムを紹介することができたこと、2019年5月に刊行した『ICT×日本語教育:情報通信技術を利用した日本語教育の理論と実践』(李在鎬(編)、ひつじ書房)において論文化されたことがあげられる。
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