研究課題/領域番号 |
16K02795
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木戸 光子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20282288)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 文章構造 / 誤用 / 作文 / 要約文 / 接続表現 / 上級日本語学習者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、上級日本語学習者の作文における文章レベルの誤用について、「誤用」・「非用」の表現、さらに「非用」の一部として「避用」・「代用」しやすい表現を特定し、その分析結果を基に、上級日本語学習者対象の文章表現辞典を開発することである。この研究を通して、上級日本語学習者の文章レベルの誤用が明らかになる。文章構造に基づく誤用分析の結果を踏まえた文章表現辞典を開発することによって学習者の自律学習を支援できる。教師に対しても、文章レベルの誤用の知識を明らかにすることで、作文指導に不可欠な文章表現に関する知識の提供が可能となる。 初年度は、上級日本語学習者の作文データベース作成と誤用分析の一部を行った。2011~2012年度の上級作文授業の作文データ入力・整理をし、さらに、2005~2012年度の全作文を合体させたデータベース完成版の作成を行っている。このデータベースの一部を用いて上級日本語学習者の新聞記事要約文の接続表現の誤用分析を行った。原文と異なる接続表現の使用は必ずしも誤用ではなく、構造に関わる要素である接続表現に一定の使用傾向があることがわかった。これは原文の前後の文脈の中に逆接的な意味を含む対比が認められることによる。これが同一の原文に対して複数の構造類型の要約文が見られる要因の一つと考えられる。一方で、原文の理解不足による誤用と見られる接続表現の使用も見られた。原文と要約文との比較により、学習者の接続表現の誤用が起きやすい文脈と起きにくい文脈があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に予定していた上級日本語学習者の作文データベース完成が遅れ、誤用分析が一部しかできなかった。追加資料の2011~2012年度の上級作文授業の作文データ入力・整理、および、2005~2010年度の作文データの再確認に予想以上に労力と時間がかかった。さらに、作文データベースを作文提供者ID別に再整理し直すことにしたため、新たな作業が加わった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に予定していた、上級日本語学習者の作文データベース作成と誤用分析を終わらせるために短期雇用を増やして、作業を早く進めるようにする。作文データベース作成と同時進行で、分析可能なデータから誤用分析を進めていく。文型辞典作成への助言を求めるため、教材開発に知見の深い研究者から専門的知識を提供してもらう。 平成29年度以降に予定している、比較資料のデータ収集、および上級日本語学習者作文データとの比較分析は、比較資料とするコーパスの種類を当初予定より厳選し、作成した作文データベースの比較対象に真に値するもののみとする。資料を増やすより、分析の精度を高めることを重視する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース作成作業の短期雇用がなかなか見つからず、かつ予想以上に作業に労力と時間がかかったため、作業が予定どおり終わらず、謝金に残額が生じた。さらに、コンピュータ等機材が予定額より安く購入できたこと、専門的知識の提供を次年度に持ち越したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、データベース作成およびコーパスによるデータ収集に関して、データベース関係の作業をする短期雇用を増やす。専門的知識の提供として教材開発に知見のある研究者を招聘して講演を行う予定である。物品費として発表用ノートパソコン、作業用モニタ、プリンタを購入する。旅費は国内外の学会発表に用いる。
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