研究課題/領域番号 |
16K02796
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
鎌田 美千子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (40372346)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パラフレーズ / 言い換え / リライト / 第二言語 / 教授法 / 教材 / 指導書 / 日本語教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の四点に取り組んだ。 第一に、昨年に引き続き、本指導書の実践編に取り上げる教科書リライトについて検討し、指導段階及び教科の違いに応じたパラフレーズ方法を提示した。従来の研究では指導段階及び教科の違いについて検討が十分になされていなかったため、これらを整理して示した(2018年6月開催の「異文化間教育学会第39回大会」で発表)。その理論的検討に関しては、論文にまとめた(『宇都宮大学国際学部研究論集』47号,pp.33-39.)。 第二に、授業実践について検討した。パラフレーズの学習を単に表現の置き換えとして捉えることの問題点を適応的熟達化の観点から指摘し、内容重視の言語教育として協働学習の設計と実践を試みた(2018年6月開催の「批判的言語教育国際シンポジウム」で発表)。加えて、大学での文献講読を事例に、文章から得た知識を外化しながら再構築する場の重要性と、そのプロセスで生じる包括的なパラフレーズについても検討した(『大学と社会をつなぐライティング教育』(くろしお出版)の第2章に執筆)。 第三に、2018年3月に出された二つの報告書「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」(文化審議会国語分科会)及び「平成29年度文部科学省委託 外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修モデルプログラム開発事業―報告書―」の指針に照らして、学習者主体の教授法にパラフレーズがどのように関係するのかを考察した(2018年9月開催の「第31回日本語教育連絡会議」で発表し、論文を執筆)。 第四に、本指導書の試案の一部を示して大学生及び日本語教師を対象にした質問紙調査を行い、試作中の指導書の理解度やパラフレーズに対する意識を確認した(2018年9月開催の国際シンポジウム「Japanese Language Learning for New Generations」で発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、教科書リライトに関する検討と授業実践に関する検討を進め、指導書の試案に反映させるとともに、研究成果を複数発表することができた。また、2018年3月に日本語教員養成・研修をめぐる二つの報告書「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」(文化審議会国語分科会)及び「平成29年度文部科学省委託 外国人児童生徒等教育を担う教員の養成・研修モデルプログラム開発事業―報告書―」が新たに出されたことから、これらをふまえた検討も行った。日本語教育の新たな動向に沿った内容の吟味ができたことは、大きな成果であった。 加えて、本書で用いる専門用語や説明が読み手に理解可能かどうかを精査するために、「理論編」「実践編」「応用編」の試案の一部を示した質問紙調査を大学生及び日本語教師を対象に行い、本指導書の試案の難易度に概ね問題がないことを確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2019年度に指導書全体を完成させることを目指し、引き続き、内容の充実を図っていく。「理論編」「実践編」「応用編」のそれぞれにおいて改善すべき点なども検討する。
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