研究課題/領域番号 |
16K02800
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中井 陽子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 准教授 (60398930)
|
研究分担者 |
大場 美和子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (50454872)
寅丸 真澄 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (60759314)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 日本語教育 / 会話データ分析 / 教材開発 / 日本語教員養成 / 談話研究 |
研究実績の概要 |
前年度から引き続き、会話データ分析の手法を学ぶための教材開発を行うため、新たな会話データ(インタビュー会話、対談、話し合い、ピアリーディング活動)の収集を行い、文字化とフォローアップインタビューを行った。 これまで収集した会話データの分析を行い、3本の論文にまとめた。(1)体験談の4者会話、スピーチ、話し合いの会話での参加者の配慮と必要とされる会話能力を分析し、論文にまとめた。(2)誘いの会話における言いさし発話の分析を行い、韓国日語教育学会で口頭発表した後、同学会の論集に投稿・出版した。(3)誘いの会話の構造展開における駆け引きの分析を行い、論文にまとめた。これらの研究成果は、会話データ分析の教材の分析例として教材作成に取り入れた。 収集した会話データをもとに、会話データ分析(例:雑談、誘い・断り、依頼・承諾、体験談・スピーチ・話し合い、インタビューの会話)のための教材を作成した。また、会話データ分析を行うための研究計画・データ収集・分析・発表のための教材も作成した。これらの教材を学部の授業で試用し、受講者の学びについて分析を行い、論文投稿した。さらに、受講生への話題区分調査の結果を分析し、学会発表を行った。 以上のような会話データの収集・分析を行うことで、基礎研究に基づいた教材作成が行えた。また、教材の試用をもとに、授業分析を行うことで、教材の改善点を明らかにできた。こうした教材開発のプロセスにもとづいた強固な教材を開発することにより、学部生・大学院生の初学者が基礎的な会話データ分析の手法を身に付けられる教材に仕上がることが期待できる。 これに加え、29年度は、会話データ分析の変遷を学ぶための教材を出版し、これについてのワークショップ、パネル発表、論文作成を行った。これにより、会話データ分析の変遷も念頭に入れて、会話データ分析の手法を学ぶことが可能になることが期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初の予定通り、会話データを収集し、文字化し、分析を行い、発表論文にまとめる作業を進めている。また、データ収集、および、データ分析にもとづいた教材開発とその試用、授業分析も進行中である。ただし、まだ収集できていない会話データもあるため、30年度中に全て収集する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
会話データの収集を続けて行う。主に、場面設定型の会話、活動中の会話などである。これらの会話データを含め、まだ分析していないデータを整理し、分析を行い、口頭発表や論文作成を行う。それをもとに、新たな教材を作成し、学部生・大学院生対象の授業で、試用を行い、授業分析を行い、授業の効果を検証するとともに、教材の改善を行う。そして、作成した教材を精査し、出版に向けた準備を行う。また、会話データ分析の変遷を学ぶための教材についてのワークショップ、パネル発表、論文投稿なども引き続き行い、総合的な教材開発を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
会話データの中で、収集できなかったものがあった点と、データの分析と論文化、教材化ができなかったものがあった点が理由である。次年度は、必要な会話データを全て収集し、データ分析と論文化、教材化を図る予定である。
|