2016年度、2017年度でのデータ分析の結果をもとに、留学生を対象とした言語支援Webサイトの開発に取り組んだ。マルチモダリティの観点から言語行動、非言語行動をコミュニケーション上の調整行動として生かすには、具体的にどのような技能が必要であるかを抽出し、分類した。その上で、従来使用してきた留学生対象コミュニケーション教育の教材の全面的な見直しをはかった。 その結果、複数言語場面を組み入れたWebサイトのパイロット版が構築できた。本サイトの開発の動機は、体系的な言語学習とは異なり、レベルや日本語能力の軸を持たないアプローチで、対象者が本学のコミュニティのメンバーとして活動を広げていく支援をしたいということにあった。この点に注目して、非言語行動などの「コミュニケーションにおけるマルチモーダルな側面」に重きをおいた。キャンパス生活のスタート段階で、サイトを見た留学生らが、言語だけでなく、手ぶり身振り、声の調子、姿勢、身体動作、視線、対人的空間など、あらゆるモードを駆使して、日本語でコミュニケーションを行ってみようと思えるような素材の提供を試みた。 来日したばかりの留学生や外国人研究者がその場その場のリソースを最大限に生かしながらマルチモーダルにコミュニケーションを行い、日本での活動体験を拡充していくこと、また、そういった体験をサイト上で学生同士が共有することで、さらに深化させていくことをねらいとした。 研究代表者、研究協力者に加え、HPデザインができる大学院生にも入ってもらい、学生の視点からのアイディアを入れるように工夫した。学習者参加型のマルチモーダルなコミュニケーションを目指すWeb教材を拡充させていくためのシステムが構築された。
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