研究課題/領域番号 |
16K02826
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木下 直子 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授 (40364715)
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研究分担者 |
Sheppard Chris 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60350386)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 語リズム / 反復生成課題 / メンタルレキシコン / 学習メカニズム / 頻度 / リズムパターン / 学習者要因 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語学習者が日本語の語レベルのリズムをどのように学習していくのか、その学習メカニズムを明らかにすることである。日本語学習者にとって日本語の生成において特殊拍の挿入、脱落が起こりやすく、日本語のリズム習得は難しいと言われており、数多くの研究が行われてきた。しかし、その研究成果を教育や実践に応用するにまでは至っておらず、教育現場ではいまだに母語話者のモデル発話を一方的に提示するにとどまっている。日本語学習者の学習メカニズムを解明することで、言語リズムの学習理論を構築し、教育に生かしていくことを最終目標としているが、本研究では、1)語レベルのリズム情報は、一度学習したら変化しないのか、2)リズムの学習メカニズムにおける知覚と生成、作動記憶容量との関係を研究課題とする。 2017年度は、中国人日本語学習者6名を対象にパイロット調査を行い、その結果を踏まえて反復生成課題(既知語・高頻度語彙/未知語・低頻度語彙/無意味語)の数を限定するとともに、イラスト課題で回答が得られにくかったタスクを修正した。そのうえで、中国の大学で日本語をゼロから学ぶ28名の日本語学習者を対象に、時期の2017年度9月、および3か月後の12月に①反復生成課題、②イラスト課題、③習得に関わる個人要因の調査(学習スタイル、リスニングスパンテスト、母語のリズム)を行った。 上記の日本語学習者の音声データ、および反復生成課題の刺激音として用いた日本語母語話者の音声は、音声分析ソフトでラベリングし、nPVI(normalized Pairwise Variability Index; Grabe & Low 2002)の値を算出し、頻度、リズムパタン別に傾向を確認した。その結果、未知語で頻度が低いリズムほど、注意深く刺激音を反復し、習得度が高い傾向が明らかになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国人日本語学習者の調査協力者27名を対象に、2017年6月のパイロット調査、2017年9月、12月の本調査を行ってきた。2018年6月にが最後の調査となるが、予定通りに遂行することで調整している。データ分析が少し遅れてきつつあるが、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
現時点までの中間報告として、今後2018年8月にイタリアで開かれる日本語教育国際研究大会、および9月にアメリカで行われるPSLLT(Pronunciation in Second Language Learning and Teaching)の年次大会において口頭発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度はパイロット調査を行ったが、その際、WindowsPCでは雑音が音声データに取り込まれてしまうことが明らかになった。そのためMacのPCを購入し、結果的に金額の面で予定通りにいかなかったところが生じた。2018年度ではの予算と合わせ、研究補助者の人件費に充てていきたいと考えている。
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