研究課題/領域番号 |
16K02827
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
北出 慶子 立命館大学, 文学部, 教授 (60368008)
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研究分担者 |
安田 裕子 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (20437180)
堀江 未来 立命館大学, 国際教育推進機構, 教授 (70377761)
庵逧 由香 立命館大学, 文学部, 教授 (70460714)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 留学経験の意味付け / ナラティブ / 教育的アセスメント / キャリア形成 |
研究実績の概要 |
29年度は、留学や異文化経験を通した学びについての研究とそのような学びを促すためのカリキュラム設計の2点の側面においてプロジェクトを進めることができた。 1.留学や異文化経験を通した学びについての研究 28年度に実施した研究2本については、それぞれ図書と国際ジャーナルに論文として掲載が実現した。また、研究を進める中で留学経験への意味付けとキャリア形成の関係が深く、日本人大学生で中国と韓国に留学した学生の帰国後の留学への意味付けの研究をし、2018年2月に論文として掲載した。これを通し、帰国者のフォローアップを中心とした量的研究はあるが、質的研究の必要性が見えてきたので、30年度はこの点に焦点をおいて次のプロジェクトに繋げたい。 2.留学や異文化経験を通した学びを促すためのカリキュラム設計 留学のアセスメントやカリキュラムなどの質保証については、近年注目されている。29年度は、欧米の教育的アセスメント理論や留学や国際教育に関するアセスメントを中心に先行研究を読んでまとめた。この成果を学内の教学実践フォーラムで報告したり、他大学でゲスト講演をするなどしてこの分野の重要性の認識を高めるこができた。また、留学を通した人間的成長について米国で開発されたBEVIを学ぶ研修会を開くなどし、BEVI開発者や日本語版開発者との連携も深めてきた。これらの結果は教学実践フォーラムのニューズレターに掲載し、留学を通した学びの質向上について学内外での認知度向上に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、28年度は留学経験者を対象とした研究を実施し、その研究をもとに29年度は論文執筆、および留学カリキュラムの検討への関連性を見出すことができた。1点、やや遅れているのは、日中韓キャンパスアジア参加学生への調査である。既に1期生および2期生への事前研修や途中研修は実施している。当初の計画通りではあるが、1期生が2年の留学を修了し30年度に帰国し就職活動を終えたところで、3年半を振り返る形で1期生を対象とした調査を実施する予定である。
29年度は、新たなプロジェクトの連携者も複数見つかり、言語文化教育学会でのナラティブ研究のシンポジウム実施、対話的自己論を含めた大学生のキャリア形成と成長についての専門メンバーとの30年度のパネル準備など、予期しなかった方向性も芽生えている。また、応用言語学分野の留学や教師教育においてナラティブ研究で著名な教授とも連携がとれ、30年度に本テーマで国際シンポジウムを開催し、欧米での留学者へのナラティブ研究の知見と国内のものと情報公開する機会にしたい。これらの連携を30年度に実りのある形にしていきたい。
予定通り、30年度は留学を通した学びを促すための教育的省察実践活動を具体化していく。
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今後の研究の推進方策 |
30年度の研究の推進方策は大きく3つある。
1.3年間のプロジェクト集大成として成果の意見交換および発信:「11月に留学を通した学びとナラティブ」についての国際シンポジウムを開催する。ここでは、応用言語学分野でこの分野で著名な海外の教授の基調講演およびパネルにて国内の海外留学経験者のナラティブ、および来日留学生のナラティブについて発表をし、海外での成果と日本やアジア留学の成果との情報交換を行う。研究手法や研究結果においても共通点だけではなく相違点も相当に存在することから、これらの点を明確にすることで海外発信の際のアピール点を探る。本シンポジウムの基調講演や発表を中心に図書にまとめ、出版の方向で検討する。 2.キャリア形成の観点を含めた留学経験の分析:29年度からの研究で大学生のキャリア形成の観点と留学経験の意味付けが深く関係していることが示唆された。30年度は、キャリア形成の観点をみるべく、キャリア構築論や対話的自己論を導入した研究と成果発表をしていく。 3.留学を通した学びを促すカリキュラムおよび教育的活動の具体化:29年度の成果を土台に留学帰国者への省察活動や留学への教育的アセスメントの導入方法について具体的に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
30年度に国際シンポジウムを開催し、その成果を図書にまとめる方向で30年度に予算を確保するためである。
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備考 |
枠組みを作成したところで、30年度に完成し、英語版も作成予定である。
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