研究課題/領域番号 |
16K02836
|
研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
草薙 優加 鶴見大学, 文学部, 教授 (50350335)
|
研究分担者 |
深谷 素子 鶴見大学, 文学部, 准教授 (40468616)
小林 めぐみ 成蹊大学, 経済学部, 教授 (50339587)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 能動型学習 / 多読アクティビティ / 読書コミュニティ / リーディング / 対話 / コミュニケーション / 自律性 / 教養 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、本研究チームの先行研究「複合的多読授業の研究:フィンランド式教育法に基づくアクティビティの開発」(基盤研究 (C) 平成24~平成27年度)から見出した教育的問いと課題に応えるべく、大学の英語教育における能動型学習(主体的、対話による深い学び)を目指す英語多読アクティビティの開発と選定を目指している。昨今、英語力向上を目標として多読を導入する中等および高等教育機関が増加している。多読は長期的な継続によって英語力向上が期待される教授法であるが、母語での読書体験に乏しい生徒や学生にとって、自律的に読書を継続することは困難を伴うことが多く、期待する効果を得る前に挫折してしまう者も多い。そこで、本研究では通常「個」の活動である読書(黙読)に加え、「協同」の学びの場である教室で、読書前、読書中、読書後に多様な読書アクティビティを学習者に体験してもらうことで、読書継続の推進とコミュニケーション能力の向上を目指す。これらの目標達成のため、効果的アクティビィティの選定と、その検証を研究の柱としている。
平成28年度は、文献調査を基盤とした国内外で評価されている多読アクティビィティの基礎調査を実施した。平成29年度は、前年度の基礎調査から得られた教育効果の高いアクティビティと本研究チームで応用開発したアクティビティを予備調査として初級、中級、上級クラスで教授し、多様な量的、質的データを収集した。データの分析、考察に向けて、これらデータを分析可能にするための整理を行いつつ、一部データの分析と考察を、国際会議(国際多読教育学会、日本国際教養学会)で報告した。また、大会予稿集への投稿、および『成蹊一般研究報告』で論文を発表をした。並行して国内の英語教員、図書館員を対象にした書籍の発行、講演によって多読教育の発展寄与にも努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」に記したとおり、本研究課題の交付申請書に示した計画通りに進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、以下の事業を進める。①平成29年度の予備調査から得たデータと知見を検証しつつ、効果が高かったアクティビティ、それらの応用アクティビティ、新規アクティビティを選定し直し、研究代表者と研究分担者が勤務する英語多読の初級、中級、上級クラスで教授を行う。そして、平成29年度同様に量的データ(質問用紙・選択肢、語数、読みのスピード、英語力テスト等)、質的データ(質問用紙・自由記述、観察・フィールドノート、ビデオ、面談等)を幅広く収集する。その間、随時、研究会を開催し、調査の経過報告と意見交換をしながら多読アクティビティの精度を高める、②中間報告として国内外の学会(日本英文学会、国際多読教育学会、大学英語教育学会、日本国際教養学会等)での口頭発表、論文執筆と投稿を行う、③これらの学会で、国内外の多読教育研究および実践の最新動向を探り、多読研究者や実践者との人的ネットワークを拡充する、④年度内のホームページ開設を目標に掲載コンテンツ執筆を進め、ホームページの開設を実現させる、⑤英語教員、図書館関係者、学生向けの多読教育研修会を開催する。特に、④と⑤の事業は、本研究を基盤に多読教育の意義を発信し啓蒙する活動である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度はデータ収集が当初計画よりも進んだため、アクティビティ実施に必要な物品購入、データ整理と入力のための謝金などが主だった支出であった。参加した国内学会の多くが研究代表者、研究分担者の所属大学を含む近隣地開催であったため、当初予定よりも支出額をかなり抑えることができたこと、知識提供者への謝金が発生しなかったことから当初計画額を下回っている。未執行予算は、次年度に繰り越し、研究代表者、研究分担者間の会議費、予定している国内外学会参加費、研究成果発信のホームページ開設費、研修会開催費等に充当する予定である。
|