研究課題/領域番号 |
16K02837
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小町 将之 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (70467364)
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研究分担者 |
松野 和子 静岡大学, 大学教育センター, 准教授 (80615790)
高瀬 祐子 静岡大学, 大学教育センター, 特任助教 (30708433)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学習英文法 / 句構造 / 高等学校用検定教科書 |
研究実績の概要 |
本研究は、英文法教育における文学テキストの活用という視座で、英語教育研究に関わる多様な見解を複合させる試みである。一方で学習英文法体系の実態を明らかにしながらその課題と改善案を提示し、他方で文学テキストの英語教育への活用の実態調査とよりよい活用方法の検討を意図している。この目標を達成するために、平成28年度は、年度を通じて1~2か月ごとに合計6回の研究打ち合わせを継続的に重ねた。特に重点的に検討したのは以下の各事項である。1.学習英文法を構成する基礎的な概念に関わる論点整理、2.文学テキストをどのように定義するか、3.教科書データベースをどのように構築し調査に活用するか。 平成28年度の成果としてより具体的には、現行の高等学校用検定教科書において、「句」概念に焦点をあてて文法記述の実態調査を行い、その理論的妥当性を検討した。実態として、1.句を語数において「2語以上」と定義する説明方法がかなり広まっていること、2.句のラベルを、中心要素によって定義する仕方と、文中での役割によって定義する仕方が混在していることがわかった。学習英文法の体系全体をひとつの理論的体系としてみたときに、これらの説明方法のばらけ方が、学習者の理解に支障を来す要因になりうることを論じた。その成果は、第23回大学教育研究フォーラムにおいて発表した。 また、教科書に採用されているテキストの性質を多角的に検討する基礎として、教科書データベース構築作業を始めるとともに、教科書におけるテキストと対比的に検討するための文学作品に関する理論的検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初には予測できなかった複数の個人的な事情(研究代表者および研究分担者の家庭の事情と健康上の事情)により、当初予定よりは達成具合が遅れているが、研究成果の蓄積は順調である。引き続き、個々の事情に配慮しながら、研究が滞らずに進む段取りをつけていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
学習英文法の体系の理論的整合性を整えるための実態調査を継続し、よりよい説明体系の具体的モデルを構築する。また、テキストを利用した英語学習に資する要因を検討するために文学作品の教育利用に関する論点整理を進める。これらの作業で蓄積した論点を包括的な実態調査において検証するため、教科書データベースの構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者および研究分担者の個人的事情により、研究の進展が当初の予定より遅れたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
上述の事情は今年度も継続しているため、研究計画を着実に進めていけるように、コーパス構築作業をより深いレベルで研究者間で共有したうえで詳細に見直し、入力作業の効率化をはかった。このうえで、遅れた作業量を取り戻すためにアルバイト雇用の延べ時間を増やす計画だが、次年度使用額はこのための人件費に充てる。
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