研究課題/領域番号 |
16K02841
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松元 浩一 長崎大学, 教育学部, 教授 (20219497)
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研究分担者 |
中村 典生 長崎大学, 教育学部, 教授 (70285758)
鈴木 章能 長崎大学, 教育学部, 教授 (70350733)
倉田 伸 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80713205)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ICT / 離島 / 英語教育 / 複式学級 / 異文化教育 |
研究実績の概要 |
昨年度は北海道と長崎の離島にある小学校をICTネットワークで繋いだ英語の授業をパイロットケースとして行った。本年度は新潟県にある島・佐渡島の小学校と長崎県の離島(五島)の小学校をICTネットワークで繋いで英語の授業を行った。北海道と長崎を結ぶ授業で得られた成果ならびに課題を踏まえて、成果の偶然性の分析ならびに課題克服のための方法を実践し、よりよい教育の場ならびに授業実践の構築を考えた。 具体的に言えば、北海道と長崎の離島同士を結んだ授業では、異なる文化の交流を通して児童の地平(視野、認識)が広がり、また異なる発音や表現などの癖をもつ英語と接触することで英語力が高まり、これらを通して英語学習の動機ならびに学力をさらに高めていくことに成果があることを確認した。この成果を基盤に3校以上の小学校をICTで結んだ授業を行うことも可能であったが、しかしその前に、昨年度得られた成果が、例えば授業を実践した当該校同士の相性といったような偶然性にどれくらい起因するものなのかを分析し、偶然性の低さを確認することで、本研究で構築していく教育の方法ならびに教育の場の有効性と意義が証明できるため、異なる離島の小学校との合同授業を行って分析を行った。北海道ー長崎間も新潟ー長崎間も得られた成果は同様であった。異なる文化に属する子どもたちが、離島という条件ゆえに異なる文化や異なる英語との直接的な接触が困難であるという教育課題を克服し、英語力を動機づけや豊かな人間力と共に高めていけることが確認できた。 また、ICTネットワークに大きな工夫を用いて授業を行った。昨年度の不安定な回線状況を克服したほか、大画面を用い、等身大の生徒をディスプレイに映し出すことで、あたかも遠く離れた離島の児童同士が同じ教室にいるかのように思える臨場感あふれる授業を実践することができた。成果については別項を参照されたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた中国の小学校との合同授業が、小学校教員とともに計画まで立てるものの実施直前になって先方から取りやめにされる事態が続けて発生している。期間内で海外の小学校との合同授業を行うため、中国に代えて韓国等の小学校との合同授業も模索したが、入試に直結しない授業という理由から保護者の理解が得られにくい状況がある。こうした課題を克服して海外の小学校との合同授業を実践する解決策についてはすでに考案したため、次年度において実践していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
海外の小学校との合同授業を実践する。東アジア圏の小学校との授業実践は社会情勢に大きく左右される傾向があるため、別の地域の小学校との授業を実践して本研究を進めていく。当初東アジア圏の小学校にこだわった大きな理由は、英語力の近似値にあった。日本の小学生の英語力とかけ離れた英語力を有する児童との間では授業が成立しないと考えたためである。しかし、最近出た先行研究を見るとオーストラリア等、英語圏の国々であっても合同授業は可能であることがわかった。そこで、視野を広げて社会情勢に左右されにくい地域の小学校との合同授業を行っていくことを考えている。アジア圏より遠い地域の小学校と合同授業を実践するには、まず距離の遠さに左右されないICTネットワークの確立が必要である。これについては研究が蓄積されているが、さらなる研究を進める。また、海外の小学校1校と日本の小学校1校を結んだ合同授業にとどまらず、複数の小学校が参加して授業ができることこそが重要であるため、そのためのネットワーク構築の方法も実践を通して考察・考案・改良していく。このために、国内の3校以上の小学校による合同授業を行うことも効果的であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述したように、海外の小学校との合同授業が先方の都合で取りやめが続いてきたため、渡航に必要な費用を使わなかった。海外の小学校との合同授業については課題克服の方法を考案しているので、授業実践時に、またその準備のために用いる予定である。
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