研究課題/領域番号 |
16K02853
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
八木橋 宏勇 杏林大学, 外国語学部, 准教授 (40453526)
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研究分担者 |
植野 貴志子 東京都市大学, 共通教育部, 講師 (70512490)
多々良 直弘 桜美林大学, 言語学系, 准教授 (80383529)
野村 佑子 順天堂大学, 国際教養学部, 嘱託教員 (20712954)
長谷川 明香 成蹊大学, その他部局等, 研究員 (10779713)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 英語ライティング / テンプレート / 好まれる談話展開 / 用法基盤モデル / 日英対照研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまで数多く積み重ねられてきた「日英対照研究の成果」と「英語ライティング教育」の接続を図る基礎研究を行い、最終的には英語ライティング教育で目的・ジャンル別に活用できる「テンプレート」(談話レベルでのスキーマに相当)の構築を目指すものである。本年度は、様々なジャンルのパッセージをもとに、英語と日本語の因果関係の表現方法と好まれる談話展開のパターンを検証し、従来の日英対照研究の成果の整理・再検証を行った。さらに、英語学習者がライティングに際して陥りやすい困難として「因果関係の表現方法」を集中的に取り上げ、英語の結果志向・日本語の過程志向の観点から英語学習者のライティング答案を検証した。 英語学習者のライティング答案を見ていると、文レベルではある程度適切に表現できても、談話を紡ぐとなると「母語が透けて見える」答案が多いことに気づく。例えば、日本語では接続関係を明示することなく、情報を単発的に羅列することが許されがちであることから、点的論理が垣間見られる答案が多くあった。これは、論理関係を明示して話題を膨らませる英語の線的論理に習熟していないことに起因する母語の負の転移に関わる問題と考えられ、英語学習者の多くが目標言語の談話展開に関する言語慣習に未習熟であることを明らかにした。 また、平成29年度に実施予定であったテンプレート試作・試行を一部前倒しで行い、母語の思考パターンをいったん背景化させ、学習言語で好まれる談話展開パターンや表現方法を学習者に内在化させるには「テンプレート」(菅井 2015)の活用が有効であることを再確認した。 今後は、テンプレートを使用した英語ライティング演習の観点から「好まれる話題展開に則った言語知識の適切な使用」にアプローチすることで、知識をスキルにまで昇華させる教授法・教材の提案が期待できる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画から大きな問題はなく、計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで当初の計画から大きな問題はなく、基本的に計画通り進んでいる。平成28年度に学会発表した成果をもとに、平成29年度は教育現場との意見交換を積極的に実施し、具体的な教材開発に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、基礎研究を中心に行ったため、教育現場との意見交換を実施する機会がほとんどなかった。そのため、人件費・謝金が未執行となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、教育現場との意見交換を定期的に実施予定であるほか、テンプレート公開用のウェブサイトを構築する予定である。
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