研究課題/領域番号 |
16K02856
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
藤本 和子 創価大学, 文学部, 教授 (20350499)
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研究分担者 |
黒田 正博 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (90279042)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モダリティ表現 / 学習英文法 / 英文法指導法 / 学習指導要領 / コーパス分析 |
研究実績の概要 |
初年度である平成28年度の研究内容及び実績は以下の通りである。 1、英国ランカスター大学に客員研究員として訪問し、海外共同研究者であるランカスター大学教員Willem Hollmann氏と、研究の方向性を確認し、コーパス分析を行うモダリティ表現項目と分析方法についてディスカッションを重ねるとともに、アドバイスを受け、今後の研究方針の決定をした。さらに、Hollmann氏のもとで、コーパス基盤型英文法研究を研究分野とするヨーロッパやアジア出身の客員研究員と、研究内容について意見交換を行うことができた。 2、ランカスター大学Department of Linguistics and English Languageの各種研究グループのうち、コーパス言語学研究会や第二言語習得研究会などの主催する研究会に参加し、コーパス基盤型研究方法や学習者の言語使用分析など、本研究にとって有意義な知見を学内外から学ぶことができた。 3、モダリティ表現が高等学校の英語教科書でどのように扱われているか調査するために、教科書全国占有率の動向を把握したうえで、占有率の高い教科書英文からコーパスを作成している。 4、近年、上級学習者用の英英辞典が、日常生活における様々な場面において使用される言語表現について掲載するようになっていることから、高等学校学習指導要領の「言語の働き」についての記述と照らし合わせながら、辞典に掲載されている言語表現からデータセットを作成し、モダリティ表現である助動詞と副詞の使用について調査、分析することにより、日常生活の様々な場面で、助動詞や副詞が、話し手、書き手の心的態度を表すために重要な働きをしていることを確認することができた。これらの分析結果や、学習者のコミュニケーション活動のための表現について、助動詞や副詞の指導の重要性や指導内容の提案について論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献、先行研究に基づき、海外共同研究者とのディスカッションにより、研究対象とするモダリティ表現について決定するとともに、それらの研究意義も改めて認識することができた。高等学校学習指導要領、高等学校学習指導要領解説に掲載されている「言語の使用場面」、「言語の働き」、「言語材料(文法事項)」及びそれらの指導についての記述に照らし、大規模コーパス分析に基づく学習者英英辞典に掲載されている日常生活の様々な場面やフォーマリティに応じた言語表現及びそれらに関する記述を分析し、助動詞と副詞の指導の重要性について述べ、指導内容を提示することができた。母語話者コーパス、学習者コーパス、高等学校英語教科書から作成している教科書コーパスの比較分析ができるよう、教科書コーパス作成を引き続き行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、モダリティ表現のうち、助動詞と副詞を中心に、大規模母語話者コーパス、大規模学習者コーパス、研究代表者が大学生ライティングデータから作成した日本人学習者コーパス(平成25年度~平成27年度:基盤研究(C))を比較分析しながら、日本人英語学習者のモダリティ表現の使用傾向と理由をつかみ、英語学及び第二言語習得の知見に基づき、モダリティ表現について、何をどのような点に留意して学習者に指導をするとよいか考察し、指導内容のさらなる提示へつなげてゆきたい。
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