研究実績の概要 |
本研究の目的は、教材のどのようなインプット情報が語彙の習得を促すかという課題について、学習者が使用した英語教科書と学習者による英作文のデータを検証し、その成果を教材開発に活かすための枠組みを提案することである。 本年度は、新規に高校生40名の英作文データを入手することができたので、対応して現行課程の中学校教科書3種類(Crown, New Horizon, Sunshine)の本文と課題の部分をデータベース化した。これらの作業は、昨年度までと同様、教科書コーパス構築の一環であり、各教科書の英語データの分布の特徴を把握し、教科書間のデータの異同を質と量の両方の観点から検証するために実施した。 作成した教科書のデータについても、従来の分析方法を踏襲し、教科書の英語インプットデータの中のある形式や要素が、学習者の英作文にどのように反映されているかという観点で実施した。具体的には、上に挙げた教科書3種類について、前置詞の出現頻度と動詞+名詞のコロケーションなどを中心に語彙項目の分布状況を観察した。従来の分析結果と同様、教科書によって前置詞の分布状況には有意な差異が観察された。 以上の結果について、外国語教育メディア学会関東支部教材教授法研究研修部会において発表した。 さらに、英作文との関連性についての研究をまとめて2020年3月の第55回RELC International Conference(於シンガポール)において発表することになっていたが、新型コロナウイルス流行のため学会自体が2021年3月まで延期されることになったため、成果はそこで発表でする予定である。
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