研究課題/領域番号 |
16K02877
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
長渡 陽一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (90757519)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダイグロシア / 口語 / 文語 / 語彙 / 両文体同時提示 |
研究実績の概要 |
アラビア語の口語と文語を授業で同時に提示するときに問題となると予想されていた「混乱」が実際にはどういうものであるかについて、実際の授業後に受講学生にアンケートをとった結果からまとめ、両文体同時提示に対して受講生たちが概してプラスの感想をもっていることを示した。 日本人のアラビア語学習の中で、アラビア語のアクセントはどのように教育、学習されるべきかに関わる研究として、「アラビア語と日本語のアクセント対照」を、外国語教育学会(2017.12.16於東京外国語大学)にて発表した。アラビア語教育の中ではこれまでアクセントはほとんど扱われてこなかった。また日本語アクセントの規則性とアラビア語アクセントの共通点を実例で示し、日本語アクセント学習にも貢献する。 いくつかの文法・表現法について、アラビア語の口語諸方言においてどのようなものがあるのかを整理し、アジア地理言語学研究プロジェクトにおいて発表した。2017年度第一回研究会(8月5, 6日)では「アラビア語のアクセント」として、次末音節アクセント、北アフリカ諸方言、声調方言に分類した。これはアラビア語の諸方言のアクセントについてまとめて整理した初めての報告である。第二回研究会(12月17日)では「雨が降る」というテーマで議論し、この表現形式には、「動詞のみ・動詞中心」型と「主語(雨)中心」型の両極があり、その中間に「主語(雨)+動詞」型があり、アラビア語諸方言それぞれを、そのスケールへ位置づけることができた。これらは、電子ペーパーとしてSAG-8にて公開される。 本研究は、ダイグロシアの中でそれぞれの語彙項目がどのように分布し、使い分けられているかを記述し提示することであるが、この同一言語の二層状態とは対照的に、別言語である英語と口語アラビア語のバイリンガル状態にあるマルタ語社会における日常使用語彙の様相を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文語コーパス作成は『星の王子さま』の単語分節をすべて終えたが、単語の意味付け・タグ付けは、協力者の不足により、まだ1/2程度までである。口語コーパスのエッセイ『結婚したい』は文字データ化および、英語訳のデータ化を終えた。予定のタグ付けは、協力者の不足により次年度に持ち越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
文語コーパスのタグ付けを行ない、『星の王子さま』のみの語彙集を作成する。また口語コーパスのタグ付けを中心に行なう。文語・口語語彙データを統一し、アラビア語見出しの語彙集の形で整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コーパスタグ付け協力者の不足により、作業のための謝金が生じなかったことと、作成を予定していた試行版が未完成であったため、フィードバックを受けるための出張が実現しなかったことのため、次年度使用額が生じた。 タグ付けの協力者をさらに広くから探して進め、謝金として支出する。また語彙目録試行版を作成し、フィードバックを受けるために直接訪問のための出張旅費として支出する。
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