研究課題/領域番号 |
16K02887
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
田中 洋也 北海学園大学, 人文学部, 教授 (70521946)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外国語教育 / eラーニング / 語彙学習 / 学習方略 / コンピュータ・アダプティブ・テスト |
研究実績の概要 |
本研究は,自律した外国語学習者・外国語使用者を育成するために,言語の4技能を統合的に使用できる英語学習フレームワークを構築することを目的に行われている。研究初年度は,研究代表者がこれまでの研究で開発した語彙項目ベースの電子ポートフォリオにコンピュータ・アダプティブ・テスト機能を付与した。一般的なコンピュータ・アダプティブ・テストは,学習者のテスト受験時の解答情報に基づいて段階的に難易度を調整した問題を提示することにより,学習者の知識を正確に測定する手法であるが,本機能では,テスト受験時の受験者による解答情報以外にも学習者がこれまでに電子ポートフォリオに蓄積した学習記録に基づいて問題を提示,知識を測定できることに,まずその意義がある。また,テスト受験時の解答情報と電子ポートフォリオの学習記録に基づいて,新規の学習項目の提案をする機能も付与した。これにより単に知識測定を目的としたテストに止まらず,学習を促進することを目的としたテストの役割を果たすことが可能となり,本システムの他の機能と合わせて使用することにより,学習者の知識段階に応じた自律学習に貢献することが期待できる。本機能を含めた電子ポートフォリオシステムの開発経過や今後の可能性,学習者による有用性認知調査の結果については,国際学会等で報告を行った。当該年度に追加されたコンピュータ・アダプティブ・テスト機能については,平成29年度中に高校生,大学生の英語学習者を対象に有用性認知と学習効果を検証する調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子ポートフォリオにコンピュータ・アダプティブ・テスト機能を付与する段階までは計画通りに進んでいる。ただし,学習者の正確な知識の診断のためにシステムが独自に備える約18,000語の辞書に例文,日本語訳,学習レベルなどのデータを追加することに時間がかかり,実証研究の計画がやや遅れている。実装するデータは独自のコーパスに基づいて英語例文,日本語訳を作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実装が遅れているデータについて,平成29年度前期に暫定的に使用できるものを整備し,後期には遠隔地の学習者を結ぶコミュニティーにおいて学習者の自律学習による実証研究を行う計画である。調査協力者の態勢も整っており,データが整備できしだい,調査は開始できる見込みである。また,全辞書データについては平成29年度中の完成を目指し,研究最終年度である平成30年度の研究計画を予定通り遂行できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品としてデータ入力用に計画していたPCの購入を研究の進捗状況に合わせて平成29年度に行うこととしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については,平成29年度前期に物品(PC)の購入を予定している。
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