研究課題/領域番号 |
16K02900
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
柴田 里実 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (80460541)
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研究分担者 |
良知 恵美子 常葉大学, 外国語学部, 教授 (10230856)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英語多読 / リスニング / 学習習慣 / Input量 / 多聴 |
研究実績の概要 |
今年度は、これまでの成果を、台湾で開催された国際学会(The Fifth World Congress on Extensive Reading)とJALTで、4つの発表を行った。 第一に、英語での読書習慣の形成にはどのような要因が関係しているのかについて論じた。近年、母語での読書量が年々減っており、全国学校図書館協議会(2018)によると55%の高校生が1か月に1冊も本を読まないことも報告されている。L1とL2のproficiencyの強い関係性を考慮すると、L2での読書習慣の形成にはそのような要因が肯定的な影響を与えるのかを検討した。 第二に、オンライン教材が、読書量の増加を促進するかについて論じた。CDの使用率が本研究を開始してから激減しており、CDではなくダウンロードが主流となった。さらに2015年以降はダウンロードも低迷し、2018年頃から定額制のサブスクリプションが主流となり、朗読CDを聞きながら、本を読むことを想定した学習者の周辺環境が大きく変化した。そこで、サブスクリプションタイプのオンライン朗読音声を導入することで、聞きながら読む環境の整備を検討した。オンライン教材で学習教材のアクセシビリティが高まることで、読了語数が増加するかを検証した。英語を専攻とする100名の4月から7月の3読了語数を、2018年度と2019年度を比較した。上位クラスでは変化はなかったが、下位クラスでは30%の読了数の増加が見られた。 第三に、サブスクリプションタイプの音声教材の使用率および学習者の態度について調査した。年々、学習者の学習環境は変化しており、オンラインであってもウェブ上ではなくアプリケーションの方が好まれることが示唆された。多読を促進するために、多くの生涯があり、アプリケーションであるかどうかも、学習者の興味関心を引き付けるかどうかに大きく影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画を提出した当初と、リスニング教材を取り巻く環境は、年々、劇的に変化しており、予想をはるかに超える変化であったため、修正を加える必要があった。初年度はCDを活用した多読を想定し、環境整備(貸出システム等)を進めたが、大学移転に伴う多読施設の廃止およびCDの衰退により、当初の計画通り進めることが困難となった。ダウンロードおよびサブスクリプションタイプでは、本学のシステムではオンライン上の教材の購入は難しく、実際に学習者の使用できる教材の収集、提供方法の検討に困難を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえ、最終成果物として、英語学習習慣の形成のための多読を促すリーディング指標を示したブックレットの作成を目指す。多読習慣の形成のために学習者は、どのような支援が必要なのか、既存のリーディング指標の精査(YL, Atos, RL, Lexile)、それにともなうリスニング指標の検討、学習者のReading-while--listening(聞きながら読む)を阻害する要因、朗読音声を聞きながら読むことは、学習者の読書レベルを上げることができるのか等を執筆予定。学会発表に関しては、コロナの影響で審査結果がでないため、現在は対処法については決定できていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
リスニング指標作成のための教材購入が、洋書であることから大学既定の購入経路での入手が困難であったこと、サブスクリプションタイプおよびオーディブル等の音声教材の購入が大学の規定上、困難であったこと、国際学会の会場がヨーロッパではなくアジアであったこと等、研究計画の修正が必要な事項が生じたため。
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