研究実績の概要 |
今年度は,リーダーコーパスのデータ化作業をさらに進めた.具体的な作業工程としては,入手したリーダーをスキャナで実際にスキャンし,PDF化,文字化を進め,後処理として,データ形式の統一,ファイルの統合,レベル別分類などを行い,タグ付けを行った.また,データ分析には,AntConc, AntWordProfiler, RANGE, Microsoft Word「読みやすさの評価」などのツールや,BNC,COCA などの汎用コーパス,また BNC wordlist, The BNC/COCA word family lists, general service list, academic word list, COCA ngram list などの語彙表を使って,リーダーの「難しさ」の要因を明らかにするための調査を行った.上記の調査の結果を元に実証実験の準備も行った. また,多読学習に他に組み込む可能性のあるリーダー・シリーズを検討した.学生に欠けているスキルを埋めることができる可能性のあるリーダーの一つは,成人英語話者の中でも難読者や識字レベルの低い英語話者向けリーダー(Easy Reade for Adults)で,健常な英語話者に向けて書かれているものよりは,容易に読めるように書かれている上に,これまで多読学習にGRと併用して用いてきたYouth Readerと呼ばれるネイティブスピーカー用児童書のように低年齢向けに書かれたリーダーよりもテーマが日本の大学生にも適していると思われる.このようなリーダーをGraded Reader (GR)と併用して読むことで,学習者向けに書かれたものだけでなく,「本物の英語」が読めるようになるための架け橋になるのではないかという結論に至った. 以上の結果を踏まえて,多読学習では GR に加えて,どのレベルで,どのようなリーダーがあれば,「難しさ」の克服に繋がり,さらにはネイティブスピーカー用の一般書への架け橋になるのかを明らかにするために,新規課題ではEasy Reade for Adultsを使った提案をすることとした.
|