研究課題/領域番号 |
16K02910
|
研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
鈴木 薫 名古屋学芸大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (20221319)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | コンピュータ支援学習(CALL) / 体感音響振動 / 協働学習 / 重複障害 / 英語教育 / 特別支援教育 / 音声分析 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
愛知県立豊橋聾学校と豊橋市立くすのき特別支援学校において、聴覚障害や知的障害のある生徒を対象に、実態調査として基本英単語の習得状況を調査した。さらに、両学校において、実験授業を開始した。情報端末を利用した個別学習やグループ学習により、英語音声・英単語・英語表現の獲得と記憶の定着を促す調査を実施している。効果測定として、筆記と音読の調査を行い、収集データの分析を進めている。 これまでの聴覚障害のみの生徒のデータや、本研究課題で同時に研究対象としてデータを収集する知的障害のみの生徒のデータと、重複障害生徒のデータを互いに比較することによって、障害の種類や程度による影響を明らかにし、情報端末を利用した英語学習について検証を試みている。 前述の実態調査では、数字や曜日などの使用頻度の高い英単語について調査を実施した。調査項目や単語の種類の違いに加えて、障害の種類や程度の違いによってデータを分類して分析した。さらに、特徴的な個別データに着目して、事例研究を行うことで、障害の種類や程度による影響が明らかとなっている。聴覚障害のみのケースでは、聴覚補償が適切に行われることが重要であり、感覚系伝導路と脳内処理のどこで障害が生じているかによって、言語学習に与える影響に違いがあることが判明している。特別支援教育における英語学習では、障害の状況の多様性を考慮して情報端末や体感音響システムを活用することで、学習意欲や英語力を向上させる可能性を、調査結果が示唆している。 英語圏の障害者に関して実態調査を進めるため、ニュージーランドのKelston Deaf Education Centreを訪問し、重複障害者教育の状況について最新情報を収集した。 成果報告としてこれらの調査の一部について、日本英語音声学会中部支部第25回研究大会にて研究発表も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教育現場の実験調査は、ほぼ予定通りに進んでいる。収集したデータの一部については、すでに成果報告を行っている。 特別支援学校間の交流活動を促す教育プログラムの実施について、担当教諭たちと情報交換を行っている。 国内と海外の新たな特別支援教育の現場における実態調査を、平成29年度以降に実施する準備を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度に実施した調査協力者について追跡調査を行うため、愛知県立豊橋聾学校と豊橋市立くすのき特別支援学校において継続調査を実施する。さらに、平成29年度より新たに愛知県立豊川特別支援学校における実験調査を開始する。実験授業を実施する学校間では、協働学習に加えて、担当教諭が情報交換を行うための関係樹立を図る。ICTを利用した社会的繋がりの発展が英語学習に与える影響を、収集データの分析によって明らかにする。 さらに、海外の障害者との交流を取り入れた実験授業の展開を試みる。連絡調整のため、Kelston Deaf Education Centreを訪問する。カンボジア・ラオス・フィリピン・イギリス・オーストラリア等の特別支援教育機関において実態調査を実施する。 脳科学や遺伝学の文献調査に加えて、関連分野の学会や研究会に参加するとともに、専門家からの聴き取り調査を行う。 収集したデータを随時取りまとめて、成果報告をする。国内や海外の学会で研究発表を行い、学会誌に論文を投稿する。
|