研究課題
最終年度では,これまでの教科書分析とタスク性を高めたスピーキング活動を用いた授業実践の成果を踏まえ,中学校でスピーキングタスクを用いた授業の効果と課題をまとめた。その結果,生徒の視点からは,英語発話量が増え,積極的に英語を使用する姿勢が見られ,遅延テストからもタスクで扱った内容が定着している可能性が示唆された。一方で,生徒が活動を難しく感じていた部分やタスクを行う時間が足りなかったといった課題が見られた。また,教師の観点からは,授業にスピーキングタスクを導入するメリットは感じつつも,教科書にある活動がスピーキングタスクとしてそのまま用いられるものが少なく,スピーキングタスクを行うためにはかなり準備に時間を要してしまい,簡単には導入できないといった課題が見られた。これまでの研究成果から,スピーキング活動を行う際にタスク性の観点を取り入れることで,生徒が自分の考えを英語で表現する機会や英語による発話量を増やしたり,扱った内容の定着がはかれるということがわかった。そのことからタスク性という観点も重要だということが示された。しかしながら,実際に授業で用いられている英語教科書に掲載されているスピーキング活動は,タスク性のばらつきがあり,教科書によってはタスク性が高いスピーキング活動が少なく,タスク性の高い活動を行うためには教科書に掲載されている活動をそのまま用いて授業で実施するのは難しいことがわかった。また,それらの活動のタスク性を高める工夫をすることで授業で実施することもできるが,そのためには準備の時間がかなり必要となり教師の負担が大きくなることがわかった。そのため,今後は教科書のスピーキング活動のタスク性を高めたり,オリジナルのスピーキングタスク活動を作成したりした上で,より教師の負担が少ないタスクを用いた授業の研究を行っていく必要がある。
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