研究課題/領域番号 |
16K02914
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
横山 吉樹 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (70254711)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | WTC / 第2言語習得者 / 動機 / タスク |
研究実績の概要 |
WTCに関わる研究を行う前に,タスクに関わる研究を先行して行った。教科書に用いられるタスクの分類とそのタスク性についての研究を行い,発表をした。 また,あまり変化しない考えられる心理特性としてのWTCについて,これまでの研究を整理した。MacIntire(1994)は,第一言語においてWTCに影響を与える要素として,「コミュニケーション不安」と「コミュニケーション能力の認知」があり,授業への積極的な参加を促すためには,この二つの要素が鍵となると示唆した。一方,Yashima(2002)は,日本人大学生を対象とした調査の結果,「国際的志向性」と「第二言語コミュニケーションの自信」がWTCに大きな影響を与えるものとした。Yashima et al.(2004)は,日本人高校生を対象として,教室内外のコミュニケーションの頻度とWTCに関わる要因を調べた。その結果から,コミュニケーションの頻度が高い学生は,WTCも高いという結果を得ることができた。大学生を対象とした研究(Sugawara & Yokoyama et al, 2013)では,「可能性認知」 (perceived possibility)が教育内外のWTCに与える影響として捉えることができた。 また,次に,タスクに特有なWTCの研究を行い,アンケートを作成した。Cao & Philip (2006),さらにCao (2011)は,状況に応じてWTCが変化すると主張したが,その知見を活用し,タスクに特有なWTCのためのアンケートを作成した。彼らの研究に基づき,1話す相手に関するもの,2タスクの難しさ,嗜好性や効果に関するもの,3タスクをする時の意識に関するものなどに区分して,質問項目を設定し,アンケートを作成した。また,先行実験として少人数であるが,アンケートに回答してもらい,言葉遣いなどを修正した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タスクに関する研究,WTCの先行研究の調査,それに基づいてタスクに特有なWTCのアンケート用紙を作成した。しかしながら,タスクに特有なWTCのアンケートを用いた予備調査は,実施し始めたばかりである。平成29年の6月までには,調査者の数をさらに増やし,因子分析を行って,アンケートの妥当性などを検証する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
質問紙が完成した後で,予備実験を行う。最初に,コミュニケーション能力を測定するために習熟度テストを課す。次にWTCの質問紙に回答させ,これまでの研究で行われたアンケートを使い,WTCを計測する。その後、2人1組のペアーを組ませ、3種類のコミュニケーションタスクタスクを課し、会話を15分程度録音する。コミュニケーションタスクは,ジグソー,情報格差,意思決定タスクとする。この3つは,意味交渉の観点とタスクの複雑性の観点を踏まえて(Yokoyama, 2014)作成する。また,タスクをした後で,新たに作成したタスクに特有なWTCのアンケートに回答してもらい,タスクに特有なWTCを計測する。 研究成果は,順次発表していく予定である。
|