研究課題/領域番号 |
16K02917
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
加藤 鉱三 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 教授 (20169501)
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研究分担者 |
花崎 一夫 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (40319009)
Mehmet Sean 松本大学, 教育学部, 准教授 (90751628)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 最終的格表示手段としてのデ / デ格 / 英語の前置詞 / 日英対訳 |
研究実績の概要 |
2018年度は,デのステイタスについての考察を進めた。加藤(2007)では,デは副詞的関係を表す最終手段(他の副詞的格助詞が当てはまらないものは全部デで表す)という見方を提唱した。しかし,「TPPに署名した12か国は、発効から4年間は交渉過程の公表を禁止することで合意した。」のように,副詞的な役割で用いられていない事例があり,その英訳でもこのような「合意する」が取っているデ格は,that節もしくは不定詞節となっているように,このようなデ格は,副詞的関係ではなく,目的語として機能していると言える。本研究で作成中のデータベースでは,このような,副詞ではなく目的語を表示するデ格は「合意する」でしか見つかっていないが,他にも「納得する」や「決着する」にも観察される。 従来は,上記のように,デは他の副詞的格助詞が当てはまらないものにデが付与される,と考えていたが,このように副詞的とは言えないデの用法があることから,最終的副詞マーカーとしてのデという考え方をさらに進めて,デは最終手段としての格助詞(副詞的であろうが目的語であろうが,その違いに関わらず,他の格助詞が当てはまらないものは全部デで表す)であるという結論に達した。これについては,言語処理学会2019大会で発表した。 データベース作成の方は時間的な理由で遅れているため,3年計画を1年延長し,4年計画とすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デが何であるのかということに関しては,今年度は大きな進捗があったと考えている。しかしデータベース作成の方は,入力が予定より遅れているため,3年計画を1年延長し,4年計画とした。
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今後の研究の推進方策 |
理論面では,デが何であるのかということについては,ある程度満足できるところまで来た。しかしデータ入力が遅れているため,次年度は,データ入力に注力し,最終年度として研究成果を発表できるようにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力が予定より遅れ,2018年度支出予定のものを次年度に回したため,次年度使用額が生じた。次年度使用額は,報告書作成に使用する予定である。
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