研究課題/領域番号 |
16K02929
|
研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
石鍋 浩 東京福祉大学, 国際交流センター, 特任講師 (90424051)
|
研究分担者 |
Jeong Hyeonjeong 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60549054)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 外国語教育 / 第二言語習得 |
研究実績の概要 |
L2習得に影響を与える要因のひとつとして母語 (L1) の転移が示されているが,L1の転移に関する神経基盤の解明を十分に行われていない。本研究では,fMRIを用い,L1とL2の文法構造の類似度がL2習得に伴う脳機能に与える影響について検討した。 日本語母語話者を対象に2つにグループに分けた。語彙は共通で文法構造のみが異なる2つの人工言語を作成した。人工言語は,習得へいたる過程を短期間で経時的にたどることができる,学習の総量をコントロールすることができるなどなどのメリットがある。本研究では,文法構造が日本語に類似する言語Aと類似しない言語Bの学習とテストを繰り返し,言語A学習群と言語B学習群のL2習得に伴う神経活動の違いを検討した。対象の日本語母語話者から,IQスコア,TOEFLスコア,エジンバラ利き手テスト,外国語学習不安尺度,外国語学習ストラテジー調査などの行動指標を取得した。2つのグループ (言語A学習群,言語B学習学習群) 間に行動指標の差は認められなかった。 各グループのテストセッション時の脳機能を検討した結果,言語A学習群では,後頭葉舌状回近傍で賦活が認められた。一方,言語B学習群では下前頭回弁蓋部で賦活が認められた。後葉葉は選択的注意に関わる領域であることが示されている。と一方,下前頭頭回弁蓋部は,文法の処理に関わる領域であることが示されている。対象の母語である日本語と同一の文法構造である言語Aと日本語と文法構造の異なる言語Bの文法処理の負荷の違いを反映していると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では2つの実験を実施する予定である。28年度は,1つ目の実験のデータ取得と解析までを目標とした。その点までは,計画通りに進んだ。解析が予定よりも遅れたため,研究成果の発表に至っていない点やや遅れている。また,実験2の予備実験への着手も若干遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は実験2に着手する。学習方法の違いがL2習得に伴う神経基盤の変化にどのような影響を与えるかfMRIを用いて検討する。 年度前半は,倫理審査申請,人工言語の作成と評価,web教材の完成を目指す。後半から,実験を開始し,年度末までにデータの取得を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初,実験2で使用する人工言語作成後の評価及び予備実験の謝金のための予算を計上していた。研究が若干遅れたため,実験2の順に至らなかった。そのため,次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
29年度予定の実験2遂行のために使用する。人工言語の作成と評価,web教材の評価など予備実験に伴う費用として使用する。研究成果の発表のための旅費としても使用する。
|