研究課題/領域番号 |
16K02930
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
千葉 克裕 文教大学, 国際学部, 准教授 (50352547)
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研究分担者 |
横山 悟 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (20451627)
宮崎 敦子 国立研究開発法人理化学研究所, イノベーション推進センター, 研究員 (30771521)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多読学習 / 読解速度(WPM) / 脳血流量 / NIRS |
研究実績の概要 |
多読語数の少ない被験者(1万語以下)から非常に多い被験者(50万語以上)を対象にした実験結果から2016年度の行動データに続き、脳血流量のデータ解析方法を検討した。 MATLAB上で動作するHITACHI製の解析ソフトPoTATOによりデータ解析する方法について、技術者の支援を受けながらその手順の習熟を図り1回目のデータ解析を行った。安静時と課題遂行時の切り出しの設定に問題があり、1回目の解析は十分な結果を得ることが出来なかった。また、データ収集時の不備が、行動データで分析した23名から16名分にデータが減少してしまった。この結果、100万語を読んだ被験者のデータが1名分使えなくなり、多読語数による有意な影響を証明することが出来なかった。 安静時(45秒中最後の10秒)と課題開始直後からの10秒を対象としてデータを切り出し加算平均をとった脳血流量のデータに加えて、データ収集時の英語力(CASECスコア)と性別を要因として共分散分析を行ったが、多読語数と脳血流量に有意な関係は確認出来なかった。この原因として、多読語数の多い被験者、特に50万語以上の被験者数が十分でなく2群の比較がうまく機能しなかったことが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
携帯型脳血流計測装置HOT1000により、多読学習者の読解課題遂行時とリスニング課題遂行時の脳血流量を計測するプログラムは確立したが、2017年度までの実験では被験者の確保や実験デザイン、解析方法で解決すべき問題があり、予定した結果を得るまでには至っていないため。特に、多読語数が50万語以上の被験者を集めることは非常に難しいことが大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
読解課題、リスニング課題ともに刺激を改善し、安静時の時間と課題遂行時のブロックデザインを整え、新たな被験者を対象に実験を継続する。 今年度は群馬大学の協力を得て新入生を対象に、上級20名、初級20名の被験者により多読開始前の英語力および課題遂行時の脳血流量を計測し、1学期終了後の8月と2学期終了後の1月にそれぞれデータ収集を行い、多読学習が英語力と処理速度にどのように影響を与えるかを計測、分析する。 脳血流のデータ解析については、研究分担者とともにさらに検討と習熟を深めていき、より精緻な分析方法を確立したい。 また、授業外多読学習で多読語数が多い被験者(40万~50万語以上)を集め、語数と読解速度の相関も継続して調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した数の被験者を集めることが出来ず、謝金の支払いが少なかったことに加え、実験に使用する機器の購入も予定通りに行われなかったため。 次年度は、群馬大学での実験となるために必要になる刺激提示用のノートパソコンや音声提示用のヘッドフォンなどの実験機器や被験者への謝金、データ解析補助に対する労務提供費などによる支出を予定している。
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