研究課題/領域番号 |
16K02932
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
金子 育世 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (00360115)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 感情表現 / 感情音声 / 言語特性 / 指導法 |
研究実績の概要 |
本研究は日本人英語学習者によるライティングとスピーキングに観測される感情表現・感情音声に着目し、その言語特性を明確にしたうえで、効果的なコミュニケーションに役立つ感情表現能力を確実に身につけさせる指導法を確立することを目的とする。具体的には、1)日本人英語学習者による感情表現、感情音声の習得状況および言語特性を明らかにする、2)感情表現能力を向上させるために、音読とディクテーションはどれだけの効果があるかを検証する、3)感情表現能力を向上させるための音読とディクテーション教材を開発し、英語習熟度が異なる学習者に対して実践する、の3点である。本研究の成果を英語授業や英語教材に反映させ、英語で効果的、効率的なコミュニケーションができ、国際的に活躍できる日本人の育成を目指す。 平成28年度は、日本人英語学習者の感情表現とその習得状況を観測するため、日本人英語学習者と英語母語話者を被験者とし、ライティングとスピーキング2種類の実験を実施した。ライティングの実験においては、被験者全員に同じ条件下で手紙を書かせ、日本人被験者のものと英語母語話者のものとを比較した。結果として、日本人被験者において感情表現の習得度とTOEICスコアの高い相関関係、英語母語話者による手紙とは異なる英文のパターンが観測された。 スピーキングの実験においては、感情表現を含んだ文章を被験者全員に音読させ、3種類に分類した分析語のピッチ高低差、持続時間、強度を計測した。結果として、日本人被験者の感情音声は米語母語話者のものに比べてピッチ高低差が少なく、持続時間が短く、強度が高いことが観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験を実施することができた。ライティングの実験においては、当初計画していた分析項目に加え、日本人被験者による英文手紙と和文手紙の比較も行い、同一被験者であっても英語と日本語でパターンが異なることが観測された。スピーキングの実験においても当初計画していた分析項目に加えて日本人被験者の男性と女性を比較した結果、女性は男性に比べピッチ高低差が大きく、持続時間が長いことが観測された。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に沿って、音読とディクテーションは感情表現能力を向上させるためにどれだけの効果があるかを検証する。また、日本人英語学習者と英語母語話者の中間に位置する立場として、英語圏に10年以上在住する日本語母語話者を被験者に加え、日本人の英語による感情表現の習得状況と言語特性の分析をさらに進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施した実験において、出来るだけ多くの英語母語話者から言語資料を得るため英語圏での実験実施を計画していたが、都合により実験の多くを国内で実施したため未使用の旅費と謝金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予定していた英語圏での実験を平成29年度に実施し、未使用の旅費と謝金を使用することを予定している。
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