研究課題/領域番号 |
16K02934
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
川村 晶彦 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (60407616)
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研究分担者 |
Gardner Scott 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (30304330)
磯野 達也 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (10368673)
石井 康毅 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (70530103)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ユーモア / ジョーク / ポライトネス / スピーチラベル |
研究実績の概要 |
平成30年度は本調査を実施する予定であったが、その前段階として行ったパイロット調査で得られた日本人学生の回答などを詳細に分析した結果として、英語のhumorは日本人が一般に「ユーモア」という語から思い浮かべるような「おかしさ」を含むものばかりではないという事実を再確認することができた。特に「おかしさ」とは直接結びつかないむしろ他者への攻撃性を含む部分については、日本人学生が予想以上に拒否反応を示すという傾向が見られ、教育という場面のみならず、今日のグローバル社会におけるコミュニケーションを考える上でも、今一度見つめ直す必要がある。ユーモアとhumourのように、異なる概念でありながらも時に同一視されることも多い概念の差異というものはしばしば見落とされがちであり、深刻な語用論的失敗、ひいては特定の国民や民族に対するステレオタイプを形成する可能性があるからである。 上記のパイロット調査の結果と研究分担者の教材分析とを元に、JALTの全国大会のフォーラムを担当したが、プラグマティックスや外国語教育を専門とする参加者が多かったため、プラグマティックスや外国語教育への応用という点で様々な有益な情報を得ることもできた。今回の課題のスタート時から意識してきたことではあるが、特に、記述を目的とするプラグマティックスをその対極である規範を目的とする教育で扱う際には注意が必要であり、学習者の世界観といった本来の外国語教育が指導の対象とすべきでないものとの厳密な区別が必要であるという点も再認識することができた。重要でありながらも見落とされることも多い、この点は今後一層注意をしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では、平成30年度は本調査を実施する予定であったが、パイロット・テストを兼ねて、研究代表者が本務校での担当授業で行ったアンケート結果からは、日本の大学生が当初の予想以上に西洋のユーモアに拒絶反応を示すという実態が判明した。そのため、予定通りに本調査を実施するべきか、その必要性自体も再検討し、少なくとも本調査実施の前に必要な修正を加えるべきと判断をせざるをえなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では最終年度に、本調査としてインタビュー調査を予定していたが、平成29年度に分析を行ったEFL辞書抽出のデータは量的にも質的にこちらの予想を超えるものであり、平成30年度に行った本調査のパイロット調査の結果と上記のデータとを組み合わせて考察を行うことでも当初の目的を達成することが可能かどうか、早い段階で検討を行い、その結果に応じて当初の計画に若干の修正を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度にはインフォーマントに対するインタビューを中心とする本調査を予定していたが、その前段階として行ったパイロット調査の結果から、研究計画の若干の変更が必要になり、本調査のために計上していた謝金等がそのまま残っている。パイロット調査にも100名を超えるインフォーマントが参加していることもあり、平成29年度に収集したデータとの組み合わせで対応が可能かどうか検討し、必要に応じて本調査を実施あるいはさらなるデータの収集などに使用する予定である。
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