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2017 年度 実施状況報告書

日本における英語教育と異文化間能力育成教育の統合を目指すガイドラインの策定

研究課題

研究課題/領域番号 16K02935
研究機関中央大学

研究代表者

栗原 文子  中央大学, 商学部, 教授 (60318920)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード異文化間能力 / 異文化学習ガイドライン / 実践の振り返り / J-POSTL / 小学校英語
研究実績の概要

29年度は,J-POSTL(『言語教師のポートフォリオ』, JACET教育問題研究会、2014)の異文化に関する記述文やFREPA(Candelier, M. et al., 2012)の記述文を検証するために,それらを参照しながら数名の高校の先生方に実践活動の振り返りを行っていただいた。この研究結果は全国英語教育学第43回会島根大会にて共同で発表した。
さらに,小学校英語における異文化間能力育成について研究も始めた。2017年12月には連携研究者である中山夏恵氏と「小中学校において異文化間能力を育む指導について考える会」を開催し,J-POSTLやFREPAの記述文の中で特に日本の文脈においても重要だと思わる異文化間能力に関する記述文に関する小学校から高校までの先生方の意識調査を行った。日本の文脈でも異文化間能力の育成は重要だと英語の教師は考えていることがわかった。同時に,問題点も明らかになった。具体的には,英語の授業における具体的な活動のイメージが浮かびにくい記述文があること,また記述文の文言自体が分かりにくく,複数の解釈が成り立つなどである。アンケート結果の分析は,RELC(Regional Language Centre)(於シンガポール)にて発表した。
2018年1~3月には,「異文化理解」の授業を行っている先生にご協力いただき,授業見学と,アンケート調査で使用した記述文による授業の振り返りを行った。その結果、記述文の有効性について示唆された。この研究は,3月開催の言語教師エキスポ2018(於早稲田大学)において発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

29年度は,J-POSTLやFREPAなどの文献における異文化間能力に関係する記述文を用いて,実践活動の振り返りや英語教師の意識調査を行うことができたのは,非常に有益であった。2017年12月に発行された中央教育審議会による答申(「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」)においても次期学習指導要領において, 「多様な国や地域の文化の 理解を通じて、多様性の尊重や国際平和に寄与する態度を身に付けたり、ボランティア 活動を通じて、他者への共感や思いやりを育んだりしていくこと」の重要性が指摘されているが,「多様性の尊重」「他者への共感や思いやり」などの「態度」はまさに異文化間能力の重要な構成要素である。現場の先生方もその点は十分に認識されている。しかし,生徒のそのような能力をどのような活動によってどのように育成するのか,指導法については,一部の先生方を除いてはまだ手探り状態であることが,授業見学や高校の先生方のアンケート調査からもうかがうことができた。ガイドラインの策定に向けて,英語教師の先生方の実践や意識,また課題を整理することができ良かったと考えている。
29年度の研究を踏まえて, ガイドラインの策定案をまとめることが次年度の目標であるが,アメリカやイギリスなど外国の異文化間教育のガイドラインに関する文書の収集が遅れている。今年度は,可能な限り文書の収集や学校への視察を行い,異文化間接触が日本よりより深く広い範囲で行われていると考えられる国々の状況と照らし合わせながら,日本の文脈における活用可能なガイドラインの策定を目指したい。

今後の研究の推進方策

科研最終年度である30年度は,今までの研究結果を踏まえ,重要だと思われる異文化間能力の要素に関するアンケートを50名以上の中・高の英語教員を対象に行い、その結果を分析し,ガイドラインの策定を目指したいと考えている。またガイドラインは単に記述文の選定や作成にとどまるのではなく,その育成にはどのような活動が有効であるのか,具体的に提示したい。
また,アメリカなど外国のIC育成教育の実践が小・中・高・大学においてどのように包括的におこなわれているのか,可能であれば授業実践の視察や教師への聞き取り調査を行いたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

2017年度は、学会発表のために海外(シンガポール)に行ったが、調査のために予定していたヨーロッパやアメリカに行くことができなかった。2018年度には、ガイドラインを策定する上で参考にするために、すでにガイドラインをもち教育現場に導入している国における異文化間教育の実践について視察に行きたいと考えている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] What English Language Educators Can Do with Global Citizenship Education: an Insight from the Survey Results on J-POSTL Self-assessment Descriptors2017

    • 著者名/発表者名
      Ken Hisamura, Fumiko Kurihara
    • 雑誌名

      Language Teacher Education

      巻: Vol.4, No.2 ページ: 47, 58

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 「小中のIC育成を目指した教員研修のガイドラインの開発の提案」2018

    • 著者名/発表者名
      栗原文子
    • 学会等名
      小中学校において異文化間能力を育む指導について考える会
  • [学会発表] 高校における「異文化理解」の授業と異文化間能力育成に関する一考察2018

    • 著者名/発表者名
      栗原文子,細喜朗
    • 学会等名
      言語教育エキスポ2018
  • [学会発表] 言語と異文化への関心を高める小学校外国語教育2018

    • 著者名/発表者名
      栗原文子、阿部志乃、安達理恵、中山夏恵
    • 学会等名
      言語教育エキスポ2018
  • [学会発表] Tips on fostering intercultural communicative competence in Japanese primary school English class2018

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Kurihara, Natsue Nakayama
    • 学会等名
      53rd RELC International Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 「高等学校における異文化間能力育成の実践と指導の観点」2017

    • 著者名/発表者名
      栗原文子, 三沢渉,残間紀美子
    • 学会等名
      全国英語教育学会 第43回島根大会
  • [学会発表] 「CLILにおけるCultureとCommunityに関する一考察―イタリアの小・中学校のCLIL授業を中心に―」2017

    • 著者名/発表者名
      栗原文子,中山夏恵
    • 学会等名
      関東甲信越(KATE)新潟大会
  • [学会発表] 「J-POSTLを活用した英語教師教育の方法-成長する英語教師を目指して」2017

    • 著者名/発表者名
      浅岡千利世,栗原文子,中山夏恵,清田洋一
    • 学会等名
      JACET国際大会
  • [学会発表] 「イタリアのCLIL授業観察から考察する日本の外国語教育への応用」2017

    • 著者名/発表者名
      日本児童英語教育学会(JASTEC)第37回秋季研究大会
    • 学会等名
      安達理恵,二五義博,栗原文子,中山夏恵
  • [図書] 行動志向の英語科教育の基礎と実践2017

    • 著者名/発表者名
      神保尚武(監修)、久村研(編集総括)、清田洋一、浅岡千利世、栗原文子、酒井志延、高木亜希子、中山夏恵
    • 総ページ数
      273
    • 出版者
      三修社
    • ISBN
      978-4-384-05876-5

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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