研究課題/領域番号 |
16K02936
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
惟村 宣明 東海大学, 国際教育センター, 教授 (90195884)
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研究分担者 |
深井 陽介 東海大学, 国際教育センター, 准教授 (60623410)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フランス語による発信能力育成 / 第二言語習得字の緊張緩和 |
研究実績の概要 |
国内外のフランス語教材を分析研究し、初修者が自律的に学習して中級や上級に向かうために必要な基本事項と語彙をまとめ、教科書を作成した。この教科書は、研究課題「創造-発信型フランス語教育システムの構築」を遂行するにあたり、たたき台とするべく編纂された。本教材を原稿の段階で、実験的に授業で使用したところ、他クラスに比べて実力が上がり、学習継続率も高いという結果を得た。これは、本教材がグループ学習を念頭に置いて編纂されていること、文法や語彙の反復練習による体得を目指した練習問題やアクティビティで構成されていること、特に動詞の語尾変化の暗記を重視していること、文法要点を箇条書きにして例文中心で理解させる方針であることなどが大きな要因と思われる。ただしこのままでは、効率的な詰込み教育の媒体にとどまり、我々の研究目標を達成することはできない。いかに学習者の創造-発信意思を引き出す教材を作るかが今後の研究の課題である。 フランス語による「創造-発信」の意思をいかに高めるか研究するために、我々は学内でアンケートをとった。フランス語で話す際の緊張度をレベル別に測ると、中級から上級に移行するある時期に緊張が緩和され、積極的に発信しようとするポイントがあることがわかった。このポイントを理解するため有志の学生を集め、全国規模のフランス語弁論大会に発表する原稿を書いてもらい、その内容に関する質疑応答訓練を行って緊張度の変化を観察した。内容に関する質問を数多くすることによって、自分の原稿を深く洞察するようになり、当初考え込んでほとんど答えられなかった参加者がやがて自信をもって答えられるようになった。このプロセスを応用して各レベルでより積極的な姿勢を促すシステムを開発したい。以上の知見を得るため、高大連携授業や合宿による実験事業を行い、また、最新の教育法を研究するため、ブルゴーニュ大学への視察も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
たたき台となる教材の作成と、実験授業の実施、被験者である学生の観察に予想以上の時間がかかり、予定していた広範なアンケート調査ができなかった。教材研究や教育法研究も十分な時間がとれたとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
外国語を話すうえでの緊張に関するアンケート調査を、専門家の意見を聞き、適切な内容で適切な時期に実施し、より多くの知見を得るようにする。他大学や他言語の研究者を招き、学生も参加させ、年数回実施する教育法研究会をよりダイナミックなものにし、多元的知見を得て問題点を深めるようにする。前年度得た知見をもとに、必要な事項や語彙を合理的に体得させるのみならず、体得した能力をもとにしてフランス語で創造し発信する意思を引き出すプロセスを研究する。それぞれの教育プロセスを実践する実験授業をあらゆるレベルで実施する。前年度は主に上級者に対して行った教育実践活動を、いろいろなレベルの学生にも適用し観察する領域を広げたい。前年度の研究活動の成果として、履修者が一層活発な学習活動を始めたことが上げられる。我々の方法を受け入れ、自主的に活動する複数の学生グループが存在するので、実験的学習プロセスの実施をを彼らにゆだねたい。こうすることによって、我々の負担が軽減されよう。前年度のようにある分野に偏った研究にならないようにしたい。アンケート調査、教育法研究、教育実践、視察活動、教材作成の分野でバランスの取れた研究となるようにしたい。前年度は、研究責任者が都合により、海外研究をすることができず、共同研究者がフランスでのみ視察研究を行った。今年は、研究責任者自らが複数のフランス語圏を訪れ、研究を一層ダイナミックなものにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
教材分析と作成、教育実践活動に偏って研究していたため以下の費用を計上できなかった。人件費と謝金について、計画していたアンケート調査が、学内でしかできなかったため、これに要する費用が生じなかった。購入予定であったノートパソコンを注文しなかった。海外旅費についても、研究責任者がやむおえぬ事情で出張できなかったため、共同研究者のみの出費となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は周到な計画に基づきアンケート調査を行う。そのためにノートパソコンを購入する。また、他大学の教員を招いての研究会を開催する。本年度は研究責任者が、前年度実施できなかった海外調査を行う。
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