研究課題/領域番号 |
16K02938
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鈴木 眞奈美 法政大学, 経営学部, 教授 (60583929)
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研究分担者 |
西川 英彦 法政大学, 経営学部, 教授 (10411208)
安藤 直紀 法政大学, 経営学部, 教授 (50448817)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 知識伝達 / 多国籍企業 / コミュニケーション能力 / 言語能力 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、国際経営学と応用言語学の分野における知識伝達やコミュニケーションの先行研究、最新の研究やデータ分析の動向に関して文献調査を実施した。6月には、これまでの本研究の成果(特にインタビュー調査の結果)を米国、ミネアポリスで開催された国際学会のthe 31st Association of Japanese Business Studiesで発表するとともに、専門家との情報交換も行った。また応用研究のための質問票を完成させ、12月に調査を実施した。現在は、収集したデータの分析方法を検討中である。これまでの成果をまとめ、多国籍企業におけるコミュニケーションの重要性と、親会社からの知識移転による子会社の業績との関係についての論文が1月に国際的学術誌であるManagement Decisionに出版された。3月には、本研究の結果を社会文化理論で解釈し、特定の目的のための英語(English for Specific Purposes)教育への提言を米国アトランタで国際学会のthe TESOL 2019で発表するとともに最新の英語教育に関して情報を得た。3月には、多国籍企業(外資系企業)の日本の子会社における言語重視、専門能力重視、異文化コミュニケーション重視を行ったそれぞれの場合の採用と親会社から子会社への知識移転による子会社の業績の関係を分析した結果をまとめた論文が国際的学術誌のManagement Research Reviewにて出版されることが決定した。また2019年4月にウィーン経済大学で開催されるthe 34th EIASM (European Institute for Advanced Studies in Management) Workshop on SHRM (Strategic Human Resource Management)に参加する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、以下の4点を目的としている。 1.多国籍企業における知識伝達の手段、言語、頻度、内容について調査を実施する。評価(1) 日本で活動する外資系多国籍企業に勤める日本人管理職を対象に実施した質問調査の結果を基に、親会社とのコミュニケーション頻度、コミュニケーションの重要性の認識度が親会社からの知識伝達によってもたらされる子会社の成果へ与える影響についてまとめ、Management Decisionより1月に出版された。 2.多国籍企業における知識伝達と企業の業績との関係や、従業員の社内言語の能力や専門能力、異文化理解能力と採用・昇進との関係を、主に統計手法を用いて分析する。評価(1) 日本で活動する多国籍企業の子会社における、社内言語能力、専門能力、異文化理解能力のそれぞれを重視した場合の採用と、親会社からの知識伝達によってもたらされる日本の子会社の業績との関係についてまとめ、Management Research Reviewでの出版が3月に決定した。 3.分析結果に基づき、応用言語学、経営学の双方の立場から、特に日本人にとっての理想的な知識伝達ならびに国際コミュニケーションのモデルを構築する。評価(2)本研究の成果を社会文化理論で解釈し、英語教育への提言をTESOL 2019で行った。 4.日本の現状を理想に近づけていくために必要と思われる大学における外国語教育や企業の研修の独創的かつ革新的モデルを構築し、シンポジウムやホームページで提案する。 評価(3) これまでの研究成果をまとめ、教育・研修モデルを構築する準備を実施した。特に業種別(製造業とサービス業)で求められる英語力、コミュニケーション能力が異なることを明確にした。外資系企業が海外の子会社で採用する際に重視すべき能力を実証研究により明らかにするとともに、研修との関連からも分析を実施し、今後発表する準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
1) 研究成果発表の準備として、社会学、心理学など社会科学の基礎分野をはじめ、国際経営、応用言語学、統計学の専門分野に関連する研究の最新動向の文献調査を引き続き実施する。 2) 応用研究の成果をまとめるにあたり、収集したデータの分析方法や結果の解釈に関して、国際学会に参加し、専門家と情報交換を実施する。 3) 日本で活動する多国籍企業の管理職を対象として実施した応用研究の成果を国際学会(Association of Japanese Business Studies, Academy of International Business)などの国際的な学会発表応募のために、論文を完成させる。 4) 応用研究の成果を国際的学術誌に投稿する準備をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初平成30年度前期に予定していた応用研究の実施(質問票調査)の質問票作成に際して、さらなる最新の研究調査と専門家からの助言が必要であることが明らかになり(とくに言語能力とコミュニケーション能力の定義と測定のための尺度について厳密にする必要があった)、応用研究実施が30年度後期となった。そのために、応用研究で得たデータの分析方法や解釈に関しての情報を平成31年度前期に収集する必要が生じ、平成30年度の学会参加による専門家との情報収集や意見交換のための予算を一部圧縮し、平成31年度に使用することになった。 (使用計画)平成31年度は、関連する学会(European Institute for Advanced Studies in Management, AIB等)に参加し、専門家と情報交換を行うことにより、研究成果をまとめ、知識伝達のための英語ならびにコミュニケーション教育、研修モデルを構築し、国際学会で発表する準備、国際的な学術誌への出版の準備を実施する。
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