研究課題/領域番号 |
16K02943
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
毛利 雅子 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (20636948)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 司法通訳人 / 通訳認証制度設計 / 異文化コミュニケーター / 文化の仲介 / 通訳人倫理規定 |
研究実績の概要 |
現在、日本には、法廷通訳人をはじめとして、司法全般(警察、検察、入国管理局、税関、裁判所、法テラス、刑務所など)で業務を行う司法通訳人に関する法整備や認証制度が全くと言っていいほど整っていない。諸外国から批判を浴び、また法廷における誤訳問題が発生している状況を鑑み、日本においても司法通訳人の認証および教育制度設計を目的として研究を行ってきている。 平成28年度は、これまでの研究を国内外で発表、また招聘講演も行うほか、論文執筆も行った。具体的には国内外での学会発表、国内招聘講演、論文投稿を実施してきた。加えて、アメリカ(ワシントン州およびシアトル市)での司法通訳人認証制度や採用試験調査を行い、現地で実際に業務に携わる通訳人および通訳管理担当オフィス担当者とも面談、医療通訳を含めたコミュニティにおける通訳人の在り方について情報収集および調査を実施した。 また本研究では、制度設計と異文化理解・コミュニケーションにも重点を置き、資料・情報集中およびインタビューを実施してきている。また、異文化コミュニケーションや異文化理解教育の観点も求められることから、研究領域に関わる研究文献も収集し、文献研究も並行して進めているところである。 さらに、認証試験が日本には存在しないことから、これまで収集した資料およびインタビューの詳細分析を実施して、実際の「テスト」として必要な情報や項目、また倫理規定などの条項選定も手掛けている。 加えて、数は膨大ではないものの、実際に通訳人として業務に関わるなかで談話情報の収集、また傍聴による情報を積み重ね、分析材料としている。 これらをもとに年間を通じた学会発表および論文執筆を継続してきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究や論文執筆から獲得した情報や資料をもとに、通訳人制度先進国(特にアメリカ)の状況を分析し、制度設計に必要と思われる項目、条件、文言などの選定作業を随時行っている。また、実際に日本・アメリカ両国の法廷を傍証し、実際の談話や異文化理解や齟齬の発生を記録し、データとして収集を行っている。さらに、オーストラリアやイギリスの制度に関する資料分析も開始しており、文献研究を進めている状態である。これらは、①基本的制度と設計プロセス、②実際の言語能力試験、③通訳人としての倫理教育および倫理規定と試験も含んでいるため、膨大な文献資料分析となっており、徐々に並行して進めているものである。 さらに、今夏、日本人が多いとされる米国の2州に調査に行き、より日本人・日本語と英語間での制度設計に必要な条件や談話データを収集する予定である。 これにより、さらに各国またアメリカ各州における実情、規定、制度運用の共通点や差異を浮かび上がらせることで、日本に適したより良い制度構築の足掛かりとしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き、平成29年度も継続して法廷での談話収集に努めていく。加えて、自らが通訳人となる可能性がある場合には積極的に関わり、談話データの収集に務めていく計画である。 また、これまで収集した資料をさらに分析しつつ、制度設計に必要な情報を求め、より良い、またより精度の高い制度設計プランの骨組みを計画していくものとする。そのため、引き続き日本での法廷傍聴を継続すると同時に、アメリカでも積極的に傍聴に参与し、現実の様々な場面での情報を獲得することで、制度設計構築に貢献するものとする計画である。 それらを積み重ねたうえで、情報精査の後、通訳人認証制度設計の骨組みを構築、それに加えてより詳細な情報を付随させていき、制度設計の基本的枠組み案を提示するものとする。またそのために必要な認証試験情報、教育教材、倫理教育、倫理規定の情報も収集しつつ、枠組みを計画するものとする。 このため、①おおまかな制度の枠組みから、②認証制度に求められる条件と情報、③語学力を測る試験、④倫理規定、教育と試験、といった制度の柱となる項目へと展開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が必要と想定していたが、学務で取りやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画そのものに変更はない。平成29年度も、前年度同様に情報資料収集および分析に務めていく。現在までのところ、旅費を含め概算支出枠の見通しが経っているので、計画そのものに支障はないと考えている。
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