研究実績の概要 |
2018年度までは、主に日本人英語学習者と英語母語話者間のインタラクションにおいて、プライミング効果がいかに生じ、促進されるのかについて調査・分析を行った。その結果、インタビュー形式などの自然な対話では、統語的プライミングの傾向はほとんど見られず、プライム文として質問リストを用意していても、統語的プライミングを引き出し、潜在的な文法学習につなげることは難しいことが分かった。 2019年度は、インストラクションや質問(プライム文)の内容および提示方法などについて検討し、文法学習につながる統語的プライミングを引き出すようなタスクを設計・実施した。与えられたパッセージ(McDonough, 2011にもとづく)や個人的な情報・世界知識などについて交互に質問し合う形式の情報交換タスクを使用し、教室内での学生同士の対話における統語的プライミングの可能性について調査した。調査回数が十分でなかったため、はっきりとした学習効果が認められたわけではないものの、ペアワーク後の学生のふりかえりにおけるコメントなども考慮に入れると、同レベルの学習者同士のインタラクションであっても、統語的プライミング実験の手法でモデルを提示しながら意味のあるやりとりを行うことで、ある程度の学習効果を得られる可能性が示唆された。 本研究課題に関連する研究については、国内で4件の口頭発表(うち1件は招待講演)を行い、年度内に2件の学術論文が発行された。
|