研究課題/領域番号 |
16K02949
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
イ ヒョンジョン 沖縄国際大学, 産業情報学部, 教授 (50511169)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 沖縄の観光 / 韓国人観光客 / 多言語対応 / 韓国語翻訳ルール / 観光案内サイン / 韓国語教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、沖縄における韓国人観光客の急増に伴う急ぐべきインフラ整備の一環として、沖縄の地域性を考慮した言語対応の基準整備が急務であることを提案するものとしてスタートした。研究2年目である平成29年度は、主に次の3点に絞って研究を進めた。 ①平成28年度に収集した県内外の観光案内関連資料の詳細な分析 ②離島を含む県内における文字面(観光案内サイン等を含む言語景観)情報に焦点を当てた資料収集と聞き取り調査 ③観光関連サービス業界の従事者に対する追加インタビュー 以上の資料分析および追加調査等の結果、多言語対応指針策定の有無や、多言語表記の整備などにおける地域間の差がみられ、沖縄県の多言語整備が必ずしも遅れている状況ではないことが確認できた。また、文字情報の表記においては情報共有の足りなさによる、誤表記や表記の齟齬などといった統一性に欠けている現場の存在が、県内外の共通する現状課題として浮き彫りになった。一方、県内においては本島と離島間での多言語対応の整備における差がみられたことに加えて、同じ地域内であっても管理指定先によって整備に相違が生じていることも調査から窺えた。今後、沖縄県の多言語対応の整備においては、県が定めた指針と翻訳ルールを如何に観光現場へ浸透させ、文字情報の表記における統一化を図っていくかが、重要な課題であることを再認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目は、多言語対応における文字面情報に焦点を当てて、研究初年度に県外にて収集した観光関連資料の詳細な分析に努めた。そこから、誤表記や表記における齟齬などの事例を抽出することができた。また、県内においては研究初年度では間に合わなかった離島(石垣島および宮古島)地域の調査も加えることで、県内における文字情報を中心とした多言語対応の現状把握もできた点は評価できる。しかし、「文字面」を中心とした調査・分析だけでも要する時間はもちろん分析量も多量であったため、研究当初の目標におけるもう一つの柱であった「対話面」に関する調査研究がかなり遅れているため、(3)やや遅れている、の区分とする。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度においては、次の検討に力を入れていきたい。 ・まず「文字面」では、これまでの収集資料の分析から見られた結果をもとに、文字情報の表記整備における指針をまとめ、県の翻訳ルール整備に対する今後への提言を続けていきたい。 ・「対話面」は、研究当初の目標であったスタンダード整備に関しては、各関係機関との連携を図るまでの資料蓄積には至っていないため、引き続きその可能性を探っていく。一方、観光関連サービス業界の関係者に対するインタビューからは、観光地域の特性を盛り込んだ教育内容の韓国語教育を望んでいることが明らかになった。よって、追加インタビューおよび他機関の事例等を踏まえながら実践可能な観光場面内容の抽出を試み、地域性を生かす韓国語教育カリキュラム構築の方向性について検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度使用額が生じた理由として、離島調査においては想定より少ない旅費でおさえることができたことと、観光関連サービス業界の関係者に対する追加調査の場合は本島内であったことから旅費の発生が全くなかったことによる、調査の計画段階と支出執行段階における差が最も大きい。その他、謝金等においても、資料整理における人件費は発生したものの、インタビュー協力者に対しては想定していた謝金等がほぼ発生しなかったことも理由として挙げられる。 (使用計画) 今後の使用計画としては、まず研究結果をまとめていくうえでの更なるデータ整理のための人件費を考えている。また、これまでの調査結果から必要性が浮き彫りになった、観光内容を盛り込んだ韓国語教育カリキュラムの方向性について探るべく、他機関への調査のための出張と、研究成果発表のための出張等も予定している。
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