研究課題/領域番号 |
16K02953
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平井 明代 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00312786)
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研究分担者 |
藤田 亮子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00756281)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スピーキング / リテリング / 文法使用 / 評価 / 自動採点 |
研究実績の概要 |
中高大のニーズに合ったリテリングの手法を使ったスピーキング能力を伸ばすための活動とそれを評価するためのテスト(Story Retelling Speaking Test:SRST)を完成させるために、今年度は,次の3つのことを行い、研究を発展させた。 1点目は、2年前から行っている研究で、英文中に使えるようになってもらいたい文法事項(ターゲット文法)が、学習テストのみでどの程度定着するのか、その練習効果を調査した。大学生にSRSTを実施し、1週間後に同じSRSTを再度実施した。ターゲット表現に関しての定着度を複数の観点で評価した。その結果を全国英語教育学会関東支部大会で発表した。 2点目は,SRSTのパフォーマンスの自動採点に関する研究である。ネイティブ・スピーカー(NS)とノンネイティブ・スピーカー(NNS)がそれぞれ採点したSRSTの得点と、自動採点として使える5つの特徴量からなる機械評価を比較した。その結果、NSとNNSの得点の一致度が0.71で、NSと機械、NNSと機械の相関が、0.61と0.65と、その一致度が、人同士の評価に近づいていた。これらの結果と5つの特徴量それぞれの重要度に関して、論文にまとめ海外ジャーナルに投稿した。 3点目は、さらなる応用研究として、批判的思考力を測定する研究である。テストで測ることができる批判的思考力の定義を定め、研究協力者とともに予備実験用にテストを作成し、CEFRA2~B1レベルの学生に実施し、分析した。SRSTの中での利用まではできなかったが、この基礎研究を国際学会で発表し、その論文が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
公務の関係で、当初の研究計画を予定通り進めることができなかった。また、新型コロナウイルスのために、予定していた活動の制限や、発表の延期があり、成果を予定通り上げることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記の点を踏まえて、今後は以下の研究を行っていく予定である。 第1点目は、期間を開けた第1回目と第2回目のSRSTのパフォーマンスの分析を終えたので、そのターゲット文法の練習効果と記憶定着に関して、その成果を口頭発表した。その際のコメントも踏まえ、論文にまとめ、次年度中に投稿する予定である。 第2点目は、SRSTの自動採点に関する研究においては、正確さを担保するため、参加者のスピーキング・パフォーマンスをすべて書き起こしたスクリプトによる分析であった。これは実用化をする上では大変なことであるので、次のステップとしては、学習者のパフォーマンスを書き起こさないで自動採点を行う研究を進めていく。よって、今年度は、現在使用されている、音声認識の技術やその精度についての資料収集を行っていく。 第3点目は、機械による自動採点は量的な評価には最適であるが、質的な評価は難しい。この質的評価をSRSTのテスト形式に加えて、実験を行う予定である。まずは、インタラクション能力を上げるタスクや高度な認知能力を必要とするタスクを如何に加えていくか、そのルーブリックはどのようなものが適切なのかを検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の遅れで、予定していた研究協力者への謝金に充てることができなかったこと、及び新コロナウイルスの影響で、学会等での成果発表等ができなかったため。
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