本研究は、平成22年度から24年度にかけて基盤研究(B)の交付を受けて行ったアプリ開発を中心とする小学校英語のための研究をベースとしながら、かつての中学英語レベルの学習内容が小学校高学年に前倒される移行期間に入った現状を踏まえて一歩進めた研究を行うことを目的とした。学習内容の前倒しをはかるうえでは、生徒と児童の違いを踏まえた移行準備が必要になるが、教育現場でなされる教育内容の見直しが十分に行われていない点を問題視し、その改善に資する研究を行った。具体的には、児童・生徒が理解しやすくなるように英文法のメカニズムを明らかにすることを行った。たとえば、いまだに旧来の規範文法をベースとした説明になっている「文と句」の理解を改めること、あるいは同等比較がなぜ 'as ... as' という形になるのかがわかる説明を提示するといった事例について、英語学や理論言語学の知見をベースにした解説を作り上げた。このようにメカニズムを明らかにすることによって、児童や生徒に丸暗記を強いることなく理解させる授業が可能になっていく。その成果は現在制作中の本に盛り込んでおり、出版社と出版に向けて準備中である。この現在準備中の本は、やはり本研究の成果を盛り込んで前年度に出版された語彙の本に対応する文法編という位置づけになる。また、タブレットで利用するアプリについては本研究の初年度においてアンドロイド版をプログラムを作成しており、本研究の初年度と2年目に一般公開した。iOS版についてはOSの大幅改定にともなうアップデートを行い、現在も一般公開中である。
|